大阪・四條畷市、「カエル会議」で業務分担しやすく
はたらく

会議時間をなるべく減らそうという組織が増えるなか、大阪府四條畷市は、職員間のコミュニケーションを密にするための会議に力を入れている。業務の目標設定や課題を洗い出し、解決のための話し合いを繰り返す。職員ごとの繁閑を見える化し、業務分担をしやすくする。地味な会議を通じて「日本一前向きな市役所」を目指す。
同市が職員数の減少や市民ニーズの多様化などに対応するため、本格的に働き方改革を始めたのが2017年度。先行して取り組んだ4課の一つ、子ども政策課が継続的に実施しているのが「カエル会議」だ。働き方を変える、早く帰宅するなどの狙いがある。
月1回程度開くカエル会議では、無理や負担なことはしない、改革は自分のためと考えるなどの取り決めがある。参加者は議題に関する考えを付箋に書く。発言しない参加者を生まない工夫だ。業務が特定の職員に集中するのを避けるため職員ごとの忙しさを把握できる管理表も作った。

新型コロナウイルス対応に追われる同課は3月からカエル会議を開けていないが、月内にも再開したい考え。現在はカエル会議などで培った信頼関係を背景に、短時間でも朝礼時などを活用し、互いの状況を把握して助け合っている。
改革を主導した溝口直幸人事室課長は「はじめは小さな取り組みで改革が進んだように思えなかった」と話す。だが改めて検証すると「スケジュール管理ができる」などの意見が出てきて効果を実感。目標設定はしていなかったが、子ども政策課では18年度、新規事業など10の業務が増えた一方、残業時間は17年度に比べ15.5%減った。
取り組みは、新しい働き方を提案する一般社団法人at Will Workが開催する「Work Story Award2019」で特別賞を受賞した。同法人は「数字にこだわりすぎないことがほかと違う」と指摘する。残業削減などの目標を設定すると、達成できない場合に後ろ向きになり改革が止まってしまうという。「関係性の質」向上から始める取り組みは、ほかの行政や企業にも参考になると評価した。
四條畷市は、他部署にもノウハウを広げるためプロジェクトチームを設置。全庁横断で集まった職員がタスク管理などテーマごとにチームをつくり、検討を進めている。
(皆上晃一)

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