トランプ氏、FBI批判強める 元側近の起訴取り下げ

2020/5/8 18:09
保存
共有
印刷
その他

【ワシントン=中村亮】米司法省は7日、トランプ政権の大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めたマイケル・フリン氏の起訴を取り下げた。取り下げは、米連邦捜査局(FBI)が野党・民主党に肩入れしていると主張するトランプ大統領に追い風となりそうだ。トランプ氏は両者の批判を強め、11月の大統領選に向け民主党が不正に手を染めていたとの印象を有権者に広める構えだ。

トランプ米大統領は民主党とFBIが結託して政権の捜査を不正に進めていると主張してきた(ワシントン)=AP

「彼は偉大な戦士だ」。トランプ氏は7日、起訴が取り下げられたフリン氏をこう持ち上げた。フリン氏は政権発足前に駐米ロシア大使と接触。2017年1月のFBIの聴取で接触を巡り偽証したとして起訴された。一度は罪を認めたが今年になって無罪を求める立場に転じていた。米メディアによると裁判所が起訴を取り下げるか最終判断を下す。

トランプ氏は民主党とFBIが結託してフリン氏を起訴に追い込んだと疑っている。フリン氏がFBIの捜査対象になったのはオバマ前政権末期で、FBI捜査官が「偽証させようか」などと話し合う内部メモが見つかっている。トランプ氏はフリン氏の捜査を通じて「オバマ政権は私の政権の転覆を狙った。彼らが大きな代償を払うことを望む」と強調する。

トランプ氏とFBIの因縁は深い。トランプ氏はフリン氏の捜査をコミー前FBI長官にたびたび打ち切るよう求めたが拒否されていた。不満を募らせたトランプ氏はコミー氏を17年5月に電撃解任。その後に特別検察官にロバート・モラー氏が就任し、ロシア疑惑について2年近くにわたる捜査を受けた。

16年の大統領選中もFBIが民主党候補のヒラリー・クリントン元国務長官による公務での私用メールアドレス使用問題を巡り訴追を見送ったことに、トランプ氏が不満を示した。トランプ氏は自身の陣営にFBIがスパイを送り込んだとも主張。大統領就任後も独立した立場とされるFBIを公然と批判した。

トランプ氏は起訴取り下げを大統領選での支持固めに利用する。トランプ氏の選挙陣営は7日の声明で「バイデン前副大統領のもとで働いていたコミー氏らがフリン氏に対して魔女狩りをした」と非難。「米国史上で最大の権力乱用だ」と断じた。「小さな政府」を志向する共和党支持者ほどFBIなどの官僚組織が権力を利用して裏で政治を操っているとの疑念が強い。

起訴取り下げはトランプ氏のロシア外交にも影響を及ぼす可能性もある。ロシア疑惑の衝撃が大きく、ロシアに接近するたびに何らかの裏取引があると疑われてきた。トランプ氏は7日、ロシアのプーチン大統領と電話し、ロシア疑惑はでっち上げだとの立場を改めて示した。記者団に対しては「(ロシアとの間で)今後数週間で多くのことが起きても驚かない」と語り、米ロ関係の改善に意欲を示した。

一方で議会下院は7日、ロシア疑惑をめぐるトランプ氏の側近らの聴取内容を公開した。民主党のアダム・シフ下院情報特別委員長は声明で「トランプ陣営が16年の大統領選でロシアの支援を求めていた数多くの証拠が明らかになった」と強調した。フリン氏の起訴取り下げを受けてトランプ氏が民主党の批判を強めることをけん制する狙いとみられる。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]