落語でも増える生配信 一之輔が10日連続
1日1万人超視聴、無料でファン開拓

文化往来
2020/5/14 2:00
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東京・神田神保町の「らくごカフェ」から落語を生配信する春風亭一之輔(4月21~29日)。最終日の30日は鈴本演芸場から配信した

東京・神田神保町の「らくごカフェ」から落語を生配信する春風亭一之輔(4月21~29日)。最終日の30日は鈴本演芸場から配信した

「寄席などで落語を聞く体験に比べれば、面白さは百分の一も伝わらないと思う。それでも、落語を忘れないでいてもらうために(配信を)やりました」と人気落語家の春風亭一之輔は話す。4月21~30日に東京・上野の寄席、鈴本演芸場でトリを務める予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止になった。代わりに同じ期間、高座に上る予定だった午後8時10分から毎日、落語を無料でユーチューブで生配信した。

通常の寄席では、その日の客席の反応を見ながらネタや語り方などを調整するものだが、配信では「客の笑い声は聞こえない。一人でやるけいこと似ていますね」と一之輔。一方で、ごまかしはきかない。「初めて落語を聞く方もいますから、きっちりやらないと。笑い声にまぎれて語尾をごまかすなどということはできません。でも、安全に運ぼうとしすぎず、受けないリスクのあることも試しました」

「ちはやふる」「青菜」などの古典落語に時折、現代を潜り込ませる得意の刺激的な高座を展開、毎日ネタを変え、日によって「投げ銭」を募った。「チャット」では視聴者の感想も同時進行で流れた。配信は、一之輔のようなチケットの取りにくい落語家の噺(はなし)を聞けるチャンスでもあり、生配信では毎日、寄席とは桁違いの1万人超が視聴した。

史上最大の人数に膨れ上がったといわれる現代の落語界。ゴールデンウイーク期間には多くの落語家が配信に挑んだ。独演会を有料の配信に切り替えたものや、寄席と似たプログラム、二ツ目昇進披露など企画の幅も広がっている。「配信による落語は、増えていくかもしませんね。でも寄席の体験というのは、木戸銭を払って会場に入って、みんなで笑って拍手をして、帰路につくまでを含めたものです。配信は、こうした落語の世界に新しい方に来ていただくためのものと捉えています」と一之輔は語る。

(瀬崎久見子)

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