米中、貿易交渉巡る「第1段階合意」で電話協議
コロナ後に初めて

2020/5/8 11:56 (2020/5/8 22:48更新)
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合意文書に署名し握手するトランプ米大統領(右)と中国の劉鶴副首相(1月、ワシントン)=AP

合意文書に署名し握手するトランプ米大統領(右)と中国の劉鶴副首相(1月、ワシントン)=AP

【北京=原田逸策、ワシントン=鳳山太成】米中両国政府は8日、2020年1月に署名した貿易協議の「第1段階合意」を巡って電話で協議した。新型コロナウイルスの感染が拡大してから正式協議は初めて。中国が「合意履行に有利な雰囲気と条件をつくるよう努力を」と注文をつけた一方、米国は新型コロナと関係なく輸入目標を達成するよう中国に迫った。

協議には中国側から交渉団を率いた劉鶴(リュウ・ハァ)副首相、米国側からライトハイザー米通商代表部(USTR)代表、ムニューシン財務長官が参加した。

第1段階合意は、中国が米国産品の輸入を2年で2千億ドル(約21兆円)増やす一方、米国は中国製品にかけた追加関税を段階的に下げるのが柱だ。合意は2月に発効し、約3カ月が過ぎた。合意には米中双方が定期的に履行状況を互いに確認しあうとの規定がある。

協議後に米中はそれぞれ声明を公表したが、内容は大きく食いちがう。

中国商務省の声明に盛りこまれた「有利な雰囲気と条件」は、険悪な米中関係を改善する必要性を指したとみられる。特にポンペオ米国務長官らがウイルスの発生源を巡って、中国を批判する発言を繰り返していることが念頭にあるとみられ、合意履行を盾に批判をけん制したようだ。

米中協議に詳しい中国側の関係者は「米国がこれからも批判を続ければ米中間の信頼の基礎が破壊される。臨界点を超えれば、今後の合意履行に響きかねない」と話す。

一方、USTRの声明は「両国は適切な時期に完全に義務を果たすことで合意した」と指摘している。新型コロナに関係なく中国が米国産品の輸入拡大の約束を守ると強調したものだ。達成時期は曖昧な表現にとどめており、遅れに含みを持たせた可能性がある。

合意は貿易戦争前の17年を輸出拡大の「基準年」としたが、米農務省によると1~3月の農産品の対中輸出は17年比45%減った。中国は「1~3月の米国産大豆の輸入額は前年同期比3倍に急増」と強調するが、17年比では半分に低迷する。7日発表の4月の中国貿易統計でも、米国からの輸入は2カ月連続で前年同月の水準を下回った。

トランプ米大統領は6日に「中国は農産品を多く買っているが、想定した水準に届いているだろうか」と話すなど不満を隠さない。今回の協議結果も踏まえ、今後改めて米国の現時点での評価を示すとみられる。

トランプ氏は「中国が買わないのであれば取引は終わりだ」と合意破棄もちらつかせる。合意を破らなくても、中国が約束を守らなければ米国が一方的に罰則を科せる仕組みもある。トランプ政権が現状の追加関税の税率を上げたり、中国製品に新たに追加関税をかけたりするシナリオは否定できない。

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