重傷女児の父「運転に責任を」 大津園児死傷事故1年

大津市の交差点で2019年5月、車2台が衝突し保育園児ら16人が死傷した事故から8日で1年。重傷を負った女児(4)の父親が7日までに、滋賀県内の報道各社の代表取材に電話で応じ、「誰もが加害者や被害者になり得る。ドライバー一人一人が安全運転できる能力と責任を持ってほしい」と訴えた。
父親によると、女児は左大腿骨骨折などで約2カ月半、入院した。退院後も駐車場では手をつながないと動けず、歩道でも「ここだったらプップ(車)来ない?」と尋ねるなどナーバスに。父親も外出時は車通りの少ない道を選び、女児を車道から遠ざけるようになった。
交差点で注意を怠ったまま右折して事故を引き起こしたとして、自動車運転処罰法違反などの罪で禁錮4年6月の判決が確定した新立文子受刑者(53)。女児の父親は「罪を償う時間は4年半で終わりではない。判決に納得していない部分もある」とくぎを刺す。
事故を受け、各地で散歩ルートの点検や、保育施設周辺で「キッズゾーン」を設置する取り組みが進んだ。
被害園児が通う保育園を運営する社会福祉法人檸檬会(和歌山県紀の川市)では、毎年5月8日を「いのち・安全の日」と定め、散歩ルートを一斉点検することを決めた。父親は「対策が進めば、今回の事故がもっと大きな意味を持つ」と受け止める。
ドライバーには「時間に余裕を持って運転してほしい。時間に追われてスピードを出すと、突然の危機に対応できない。加害者になれば膨大な時間が奪われる」と指摘。「道路の整備が進んでも、ドライバーの意識が変わらなければ事故は起こる」と強調した。
事故は19年5月8日、交差点を右折した乗用車が直進の軽乗用車と衝突。弾みで軽乗用車が歩道にいた園児らの列に突っ込み、2歳の園児2人が死亡、園児と保育士計14人が重軽傷を負った。〔共同〕