レムデシビル、供給に課題 治療期間短縮に効果か

2020/5/7 22:00 (2020/5/8 5:33更新)
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厚生労働省が7日承認した新型コロナウイルス感染症の治療薬「レムデシビル」は当面、日本への供給量が限られる見通しだ。同省は人工呼吸器などが必要な重症患者に投与する。入院期間を短くして集中治療室(ICU)などの逼迫を緩和する効果が期待されるが、軽症段階から投与して重症化を防ぐ薬の登場はまだ先だ。治療法の確立にはなお時間がかかる。

薬事・食品衛生審議会(厚労相の諮問機関)部会で了承を得た。有効性や安全性についての情報は極めて限られているとし、患者に文書で同意を得ることや、腎機能や肝機能の検査を毎日行うことなどを条件とした。最大10日間投与する。

厚労省によると、レムデシビルは当面14万人分あるが、このうち4万人分は臨床試験(治験)などで使う。配分先は薬を製造する米製薬大手ギリアド・サイエンシズが設けた第三者委員会が決めるという。日本への供給量の見通しは明らかになっていない。

本格的な供給体制が整うのは2020年後半になってからで、ギリアドは10月までに累計で50万人分、12月に100万人分を目標に増産する。

厚労省は当面、日本に割り当てられる量が少ない可能性があるとみて国内での流通を管理する。人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)が必要な重症患者を各医療機関から集計したうえで配分する。政府として米側に日本への安定的な供給を求めていく。

レムデシビルは治療期間を短くする効果が期待される。投薬によって患者の回復が早まり入院期間が短くなれば、病床に余裕をもたらし医療崩壊を防ぐことにつながる。日本集中治療医学会のまとめによると、人工呼吸器を使う全国の重症患者は6日時点で252人となお高水準だ。

ただ死亡率については国際共同治験の結果で明確な改善は見られなかった。このため専門家の間ではレムデシビルに劇的な効果は期待できないという見方が多い。

大阪市立大学の新谷歩教授は「他の治療薬がないなか、回復までの期間が改善されれば少しは意味があるという考え方で実施されたようだ」と分析。「このタイプの治療薬の治験は本来、死亡率を評価しないと意味がない。今回の治験結果では死亡率を改善できたわけではない」と指摘する。

中国・湖北省の10病院で重症患者を対象にした治験では158人にレムデシビル、79人に偽薬を投与したところ、症状の改善に差はなかったという。ただ患者数が減って治験を途中で打ち切ったためともみられ、英臨床医学誌ランセットに掲載した論文には「大規模な研究で効果の確認が必要」と記した。

富山大学の折笠秀樹教授は「薬事承認は治験結果が2つ出てから行われるのが一般的だが、レムデシビルは1つしかない。承認後も追加でデータを公表することが重要だ」と話している。

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