中小の資金繰り、胸突き八丁に 銀行に相談1000件

2020/5/7 19:30
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政府が新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を5月末まで延長し、中部では中小企業や個人事業者から資金繰りの一段の悪化を懸念する声が広がっている。1日から民間金融機関で実質無利子・無担保融資の受け付けが始まり、大型連休中は金融機関の窓口に相談が殺到した。

名古屋銀行は新型コロナウイルス関連の相談窓口を設けている(7日、名古屋市中区)

中部の地方銀行や信用金庫は大型連休中に相談窓口を設けた。愛知の地銀3行(名古屋、愛知、中京)では2~6日の5日間で計1000件弱の相談を受け付けた。百五銀行は370件あった相談のうち大半が国が利子分などの財源を補給する無利子・無担保融資についてという。日本政策金融公庫が相談急増に対応しきれなくなり、窓口を民間金融機関に広げた。

資金繰りに窮する事業者はさらに増えそうだ。半導体製造装置部品のサン樹脂(愛知県北名古屋市)は、新規の引き合いが前年比で半減した。既存客からの受注は大きくは減っていないものの、「(2008年の)リーマン・ショックの直後は半年遅れで既存客の受注に影響が出た」と磯村太郎社長。金融機関を通じて、信用保証制度の申し込みの準備を始めた。

ハワイアンカフェなどを運営するゼットンは8日、一部店舗の営業を再開する。19年2月期の有価証券報告書によると、正社員の給料や家賃など、売り上げにかかわらずかさむコスト(固定費)は毎月約2億円。20年2月末の現預金は8億円弱あり、仮に売り上げゼロが4カ月間続いても計算上、財務は持ちこたえるが、このほど融資の申し込みを決めた。「以前とは比べものにならないほど現金を厚めにした」(鈴木伸典社長)という。

地銀や信金は連休明けも土日の窓口開設を続ける。中京銀行は11日から三重県や奈良県の店舗で顧客の了解を得ながら、自粛してきた訪問活動を再開。「膝詰めで融資相談に応じる」という。十六銀行は岐阜商工会議所など岐阜県内5カ所に支店長経験を持つベテラン行員を配置した。補助金の申請から事業譲渡の相談まで幅広く応じる。

帝国データバンク名古屋支店の中森貴和情報部長は「名古屋圏の住民は全国平均と比べて生活防衛意識が高い。それだけに消費者心理の回復も鈍くなりやすい」とみる。製造業はサプライヤーなどの層が厚く、資金繰りの悪化が今後、さらに広がる懸念が高い。

(湯浅兼輔)

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