イラク新首相に前国家情報機関トップ 政治空白に幕

2020/5/7 18:00
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【イスタンブール=木寺もも子】イラクで7日、前国家情報機関トップのムスタファ・カディミ氏が首相に就任した。5カ月以上にわたり続いた政治空白が解消した。ただ、前政権を退陣に追い込んだデモの背景となった高い失業率などの問題は、原油価格の下落や新型コロナウイルスの影響で深刻さを増している。新首相が複雑な各政治勢力間の利害を調整して混乱を収束させられるかはなお見通せない。

国会は7日未明、閣僚名簿の一部を承認し、カディミ氏が首相に就任した。米国のポンペオ国務長官はカディミ氏に電話で歓迎の意を伝えた。

カディミ氏は、欧米滞在経験が長く、帰国後は政治記者や国家情報機関トップを務めてきた。政議会内の主要各勢力と一定の友好関係を築いてきたが、特定の支持基盤がない同氏の政権運営には困難も予想される。

イラクではイスラム教シーア派、スンニ派、クルド人勢力などが権力を分け合うが、外相や石油相といった主要ポストは各勢力の調整が付かず先送りされた。

前政権を退陣に追い込んだ反政府デモはこうした派閥主義で停滞する政治改革を求めている。英王立国際問題研究所(チャタムハウス)のレナド・マンスール・シニアリサーチフェローは「カディミ氏は市民が求める改革に意欲があるが、自らを推した議会内の各勢力との間でバランスを取るのは至難の業だ」と指摘する。

イラクでは2019年11月、高失業率や汚職、不十分な電力サービスなどへの不満を背景とする反政府デモが激化し、アブドルマハディ前首相が辞任を表明した。カディミ氏以前に2人の首相候補が指名されたが、ともに組閣に失敗し正式な政権のない政治空白が続いていた。

新型コロナウイルスの感染拡大による都市封鎖で、昨年から続いてきたデモは縮小しているが、イラクの経済状況は悪化している。原油価格の歴史的な安値は、歳入の9割を原油・天然ガス販売に依存するイラクには致命的な打撃で、公務員給与や年金の支払いにも影響が出る恐れがある。

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