漱石を最新技術で後世へ 東北大、デジタル化を開始

2020/5/7 11:24
保存
共有
印刷
その他

夏目漱石(1867~1916年)直筆の草稿や蔵書を集めた「漱石文庫」を所蔵する東北大付属図書館(仙台市)は、経年劣化を食い止めようと、高画質デジタルデータ化を始めた。資金はクラウドファンディング(CF)で募集。最新の技術やアイデアを駆使し、歴史資料を後世に継承する試み。担当者は「文豪の素顔を未来に伝えたい」と意気込む。

夏目漱石の日記。損傷が激しく閲覧が制限されている=共同

同図書館では小説「それから」の構想を記したメモや日記、手紙など約900点や蔵書約3千冊を保管。漱石と親交の深かったドイツ文学者、小宮豊隆が第2次大戦中に館長を務めた縁で、東京の漱石宅から移された。CFで呼び掛けると、昨年末までに約468万円が集まった。多くは年内にインターネット上で一般公開する予定だ。

漱石は書籍に思い付いた考えを書き留める癖があり、蔵書の3割に書き込みが残る。シェークスピアの「ハムレット」には「幽霊ノ話ヲ出ス処少々マヅシ」と批評を加えた上で「余ナラバ(中略)ト云フ風ニカク積リナリ」と書かれ、創作の視点を持って本に向き合う姿が浮かび上がる。

英国留学中に、日本の妻と交わした手紙では、送られた妻と長女の写真に触れ「御両人とも滑稽な顔をして居るには感服」とからかいつつ「少々恥かしい様な心持がしたが(中略)御肖像をストーヴの上へ飾つて置た」と返信、家族との温かなやりとりがうかがえる。

紙の脱落や文字のかすれなど損傷が激しい資料は、これまで一部研究者のみの公開にとどまっていたが、デジタル画像は誰でも無制限に閲覧可能。貸し出し抑制で、原資料の劣化も防げる。図書館の三角太郎情報サービス課長は「多くの目に触れることで、新たな発見につながる可能性がある」と期待を寄せている。

〔共同〕

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]