巣ごもり癒やす友達ロボット ソニー出願特許の中身

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スタートアップGlobe
コラム(テクノロジー)
2020/5/8 2:00
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 ソニーが出願した新たな友達ロボットの特許の内容が公開された。人の感情を読み取り、本当の友人のように一緒に喜んだり慰めたりしてくれる。犬型ロボット「aibo(アイボ)」で家庭内ロボットの新しい可能性を開拓したソニーが次に何を狙っているのか。今後しばらく続きそうな巣ごもり生活を癒やす存在としても期待される友達ロボットの特許の内容と戦略をCBインサイツが分析した。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

デジタルビデオゲームの支出額は2020年3月、過去最高の100億ドルに達した。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために他人と距離をとる「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」の確保が求められるなか、ビデオゲーム、特にプレーヤー同士がオンラインでつながることができるゲームの人気が急上昇しているのは驚きではない。

一方、このほど公開されたソニーの出願特許の内容では、ゲームプレーヤーがつながりを育む新たな手法を示している。ソニーが設計したのは「感情推測ユニット」――利用者の感情を直感的にとらえ、それに寄り添うことができる、もこもこした外観のロボットだ。

出所:米特許商標庁(USPTO)

出所:米特許商標庁(USPTO)

今回のリポートでは、ソニーのコンパニオンロボット(友達ロボット)に対するビジョンと、それが重要な理由について取り上げる。

■特許の仕組み

ソニーの特許ではコンパニオンロボットを活用する2つのシナリオを示している。

1つ目は仮想空間だ。ヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着した利用者が横を向くと、バーチャルロボットがソファに座り、一緒にコンテンツを視聴している。

2つ目のシナリオではHMDを装着せず、実際のロボットが自分で座り、身ぶりや手ぶりで話し、動く可能性が示されている。ロボットは内蔵カメラやセンサーなど他のデバイスにリンクされている。

出所:USPTO

出所:USPTO

ロボットはカメラとセンサーから提供されたデータを分析することで、ゲーム中の利用者の発言やパラ言語情報(話す速度や声の大きさ、話し方など)、非言語行動に加え、発汗状態や心拍数も検知する。

ロボットはこうした情報を喜びや怒り、愛情、驚きなどの感情指標に基づいて分類する。

そして、喜んで万歳したり、(ゲームで)惨敗した場合には慰めたりするなど、言語やジェスチャーでリアルタイムに反応する。

出所:USPTO

出所:USPTO

ロボットはまるで本当の友人と同じように、利用者の機嫌や、利用者が自らをどう扱うかに応じて行動を調整する。充電が切れそうなときにすぐに充電してくれなかったり、ゲームの最中に取り乱してロボットを蹴ったり押したりすれば、ロボットも「利用者に反発する態度をとる」ようになる。つまり、利用者は思いやりや好意を持って接し、より現実的な人間同士のような友情関係を育むよう求められる。

■重要な理由

ソニーのコンパニオンロボットのビジョンは、ゲームやソファの上だけにとどまらない。

特許ではゲームで遊ぶだけでなく、映画やテレビ番組を一緒に視聴するなどといったロボットの用途について詳細に説明している。「利用者はロボットと一緒に視聴することで、一人で視聴する場合と比較して、コンテンツをより楽しめる」からだ。

さらに、利用者がゲームで遊ぶために夜更かしするなど「不規則な生活」を送っていれば、ロボットは「そろそろ寝ようか」などと促す。これにより、ロボットはテレビをつけるだけにとどまらず、利用者の生活にさらに深く根差した存在になる。

特許ではこう述べている。「利用者(とロボット)との関係は実際の人間社会における人間関係と同じように管理する。お互いに思いやりを持って接することで良好な関係が生成されるが、一方が思いやりをなくせば他方も思いやりをもてなくなる」

ペットロボットの活用は高齢者の介護で成果を実証済みだ。もっとも、ソニーが成人向けにコンパニオンロボットを開発したのはこれが初めてではない。

1999年に発売した犬型ロボット「aibo(アイボ)」は、3000ドル近い価格にもかかわらず、多くはないが忠実なファンを開拓した。とはいえ、発売から20年の間には生産が途絶えた時期もあった。

それでもなお、今回の「感情推測ユニット」は最先端のウエアラブル端末、仮想現実(VR)、人工知能(AI)テクノロジーを駆使しており、340億ドルの市場規模を誇るコンパニオンロボット業界でソニーの戦略が進展する可能性を秘めている。

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