フィリピン、最大手放送局に停止命令 政権批判が背景か

2020/5/6 1:24
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【マニラ=遠藤淳】フィリピンの政府機関の国家通信委員会は5日、同国の最大手放送局ABS-CBNに対し、放送免許が4日に失効したとして放送停止命令を出した。同社はドゥテルテ大統領の薬物対策を過去に批判したことなどから、同氏が免許更新を拒否する意向を示していた。一部議員や人権団体からは政権批判が背景にあるとして非難の声が上がっている。

テレビ、ラジオの放送停止を命じられたABS-CBNの本社(5日、マニラ)=ロイター

国家通信委員会はABS-CBNが全国で手がけるテレビ、ラジオの放送を停止するよう命じ、同社は5日夜に放送を停止した。25年間の放送免許が期限を迎えるため、議会で免許更新に必要な審議が進んでいたが、結論には至っていなかった。さらに新型コロナウイルスの影響で議会再開が遅れ、免許の期限切れを迎えた。

ABS-CBNのマーク・ロペス会長は放送停止直前の番組に出演し、「我々は危機にあるが、一丸となって乗り越えたい。すぐに再開できるよう祈ってほしい」と述べた。ロケ大統領報道官は「法律に基づく免許がないなかでの国家通信委員会の判断だ」とのコメントを出した。

大手財閥ロペス・グループ傘下のABS-CBNは、2016年の大統領選でドゥテルテ氏の掲げる強硬な薬物対策を批判的に報道した。同氏は大統領就任後、自陣営の選挙キャンペーンを放送しなかったなどと非難し、免許更新を拒否すると発言。ABS-CBNの経営幹部が2月、議会で「大統領の気分を害して申し訳ない」と謝罪していた。

放送停止命令は政権批判に対する報復だとして反発が広がった。野党のドリロン上院議員は「国家通信委員会による権力の乱用だ。新型コロナに関する情報を人々が必要としているさなかで理解できない」と述べた。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは「政権の報道機関に対する弾圧であり、この事態を深く懸念している」との声明を出した。

ABS-CBNは10日に異議申し立てができる。今後、議会に免許更新が認められるなどすれば、放送を再開できる可能性がある。

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