スウェーデン、「都市封鎖なし」でもマイナス成長 20年7%減も - 日本経済新聞
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スウェーデン、「都市封鎖なし」でもマイナス成長 20年7%減も

【ロンドン=佐竹実】新型コロナウイルス対策で厳しい都市封鎖(ロックダウン)をしていないスウェーデンが、マイナス成長に直面している。政府が5日発表した2020年1~3月の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比0.3%減で、通年では7%減を見込む。比較的緩い対策で経済活動を優先したとしても、グローバルな影響から免れることは難しい。

前期比0.3%減はフランス(5.8%減)、スペイン(5.2%減)、イタリア(4.7%減)など欧州の主要国に比べれば小幅なマイナスだった。スウェーデン統計局によると新型コロナの感染が広がる中でも輸出が下支えした。

だが、4月以降は失業率の悪化が懸念されている。航空需要も減少し、格安航空会社(LCC)のノルウェー・エアシャトルのスウェーデン法人は4月、破産を申請した。世界的な需要減少やサプライチェーン(供給網)寸断の影響も大きい。

政府も4~6月以降の落ち込みを警戒しており、国立経済研究所は20年通年では前年比でマイナス7%成長を見込んでいる。スウェーデン中銀は新型コロナの影響が深刻になった場合はGDPが前年比で10%近く減ると予想している。

フランス、イタリア、英国など厳しい外出規制をした国とは対照的にスウェーデンは店舗などの閉鎖をしておらず、国民の暮らしは比較的通常に近い。経済活動を維持しながら感染拡大を防ぐ戦略だが、グローバル化の中では経済への悪影響がさけられない。

新型コロナによる経済への影響は広範にわたり、回復への道筋もいまだ描けない。各国政府の対策についても評価するには早いが、スウェーデンも全く対応を取っていないわけではない。

2メートル程度の社会的距離を保つよう呼びかけているほか、50人以上の集会を禁じるなど専門家の指摘に基づく対策を取っている。英フィナンシャル・タイムズの集計によると、100万人当たりの死者数は約260人。都市封鎖をしたイタリア(約480人)や英国(約420人)より少ない。

スウェーデン政府に助言する疫学者のヨハン・ギーゼケ氏は「ロックダウンに効果があるという証拠はない」と指摘する。「国境封鎖や学校の閉鎖にも効果があると明確に言えない。欧州の他の国の対策は過剰だ」と話している。

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