ブラジル防衛相、軍事介入示唆の大統領をけん制
【サンパウロ=外山尚之】ブラジルのアゼベド防衛相は4日、「軍は法と秩序、民主主義、そして自由の側にいる」とする声明を発表し、民主主義を軽視する言動を繰り返すボルソナロ大統領をけん制した。軍出身のボルソナロ氏は3日、自らと対立する裁判官や州知事らを批判する文脈で「軍は我々国民と共にいる」と軍事介入を示唆しており、国内で大きな反発を呼んでいた。

ボルソナロ氏は3日、SNS(交流サイト)に配信した動画で、外出自粛令の早期解除要請に従わない州知事や議会、自身の人事案を差し止めた裁判所などを批判した。「我々は限界に達した。これ以上の議論はない」と述べるなど、軍事介入を求める自身の支持者に同調するような発言を繰り返した。
ブラジルは4日夕時点で新型コロナウイルスの感染者が10万人を超え、死者も7200人を上回るなど感染爆発が始まっている。しかし、ボルソナロ氏は新型コロナを「ただの風邪」と呼び、景気が悪化するとして外出自粛令を推進する州知事への批判を続けていた。
軍出身のアゼベド氏は声明で「報道の自由は民主主義国家にとって基本的な要求であり、報道に対する攻撃は受け入れられない」とも明記。ボルソナロ氏が自身を批判するメディアを「フェイクニュース」だとして批判する中、ボルソナロ氏の支持者が集会を取材していたメディア関係者を襲撃するなど、緊張が高まっていた。