首相「アビガン5月中承認」 レムデシビルは週内にも

安倍晋三首相は4日の記者会見で、抗インフルエンザ薬「アビガン」について、新型コロナウイルス感染症の治療薬として5月中の薬事承認を目指す考えを明らかにした。当初7月以降を見込んでいたが、首相が厚生労働省に手続き加速を指示していた。厚労省は治療薬候補「レムデシビル」も週内に日本での製造販売を承認する方針で、国内での治療法の確立を急ぐ。
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新型コロナの治療薬は、現在国内で承認された薬剤が存在しない。
富士フイルム富山化学が開発した新型インフルエンザの治療薬「アビガン」はウイルスが体内で増殖するのを防ぐ薬剤で、国内で治験や研究が進んでいる。
治験の症例数はまだ計画に達していないものの、研究としての投与は増えてきた。首相は「治験とは違う形での承認の道もある」と述べ、企業側が研究データを基に承認を申請するとの見方を示した。
厚労省は新型コロナの治療薬は優先して審査すると決めている。企業側のデータ次第で、投与後に有効性や安全性を調査するといった一定の条件を付けて早期に承認することも検討する。
一方、レムデシビルを巡っては、厚労省が早ければ7日にも承認する。米医薬大手ギリアド・サイエンシズの日本法人(東京・千代田)が4日、厚労省に承認を申請したのを受けたもので、国内初の正式な治療薬になる見通しだ。
レムデシビルは静脈内に投与する点滴注射薬。エボラ出血熱のために開発されていた薬で、ウイルスが体内で増殖するのを防ぐ。米食品医薬品局(FDA)が新型コロナ感染症の重症患者の治療薬として1日に緊急使用を認可し、日本政府も2日に国内で使用できるよう医薬品医療機器法の施行令を改正していた。
課題は供給体制になる。米ギリアドは増産投資しているが、量産化の体制は整っていない。同社は世界で14万人分のレムデシビルを無償提供する方針を示しているものの、日本に対して何人分が供給されるかは現時点で未定だ。
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