レバノンでデモ再燃、都市封鎖で生活困窮

2020/5/3 16:35
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治安部隊と対峙するデモ参加者の男性(左)(1日、ベイルート)=ロイター

治安部隊と対峙するデモ参加者の男性(左)(1日、ベイルート)=ロイター

【イスタンブール=木寺もも子】レバノンで大規模な反政府デモ活動が再燃している。新型コロナウイルスの感染拡大で市民生活の困窮が深まり、メーデーの1日には外出禁止にもかかわらず複数の都市中心部に市民らが繰り出した。中東・北アフリカで2019年に広がった民主化や改革を求めるデモは、感染対策でいったん中止・縮小したが、火種は各地でくすぶっている。

「飢え死にするよりコロナウイルスの方がましだ」。1日、レバノンメディアは首都ベイルート中心部で外出禁止にもかかわらず数百人が反政権デモに参加する様子を報じた。参加者はエリート層の汚職や経済失政を非難し、日々の生活の困窮を訴えた。

経済危機下のレバノンでは19年10月、政府が無料通話アプリへの課税を提案したのをきっかけに、大規模な反政府デモが発生。当時のハリリ首相が退陣に追い込まれた。3月中旬以降、新型コロナウイルスへの対策で外出禁止が始まり、デモ隊も一時、姿を消した。

だが、長引く封鎖で収入を失った日雇い労働者ら低所得層を中心に不満が爆発した。北部トリポリなどでは4月下旬以降、連日デモが起き、これまで約200人が負傷したもようだ。現地の記者は、チーズなどの食品価格が新型コロナ流行前の5割増になったと訴える。ドルに固定された通貨は闇レートで昨秋以降、半分以下に下落した。

新型コロナが収束に向かい、今後封鎖の解除が進めばデモは一段と再拡大する可能性がある。ベイルートのデモ隊は4月下旬、声明で「政府は新型コロナをデモ抑制の口実に使っている」とも非難した。

中東・北アフリカのアラブ諸国で19年から広がったデモは、11年の民主化運動「アラブの春」の第2幕ともいわれる。新型コロナウイルスの拡大で中断しているが、レバノン同様に再燃しかねない火種は各地にくすぶる。

アルジェリアでは19年4月に反政府デモでブーテフリカ長期政権が倒れた後も、改革を求めるデモが続いていたが、政府は20年3月、公共の場での集会を禁止にしたうえ、デモがなくなると指導者らを次々逮捕した。

イラクでは19年11月、高い失業率や汚職に抗議する反政府デモの激化でアブドルマハディ前首相が辞任を表明して以来、後継の首相候補が組閣できていない。2月に新型コロナウイルスの国内初の感染が報告されて以降、デモの参加者は縮小したが、原油価格の下落が経済に打撃を与えるのは必至だ。

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