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アスリート、自宅で己磨く 語学やコーチ資格取得も

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が進むなか、アスリートが自宅での自己研さんに励んでいる。語学習得やコーチ資格取得の勉強に力を入れるほか、競技のパフォーマンス向上のヒントを得るために論文を読み込む選手もいる。自宅で可能な肉体的なトレーニングは限られるため、空いた時間を使って頭と心を磨き、スポーツ再開後の競技力アップにつなげようとしている。

異国での活躍に役立てたり、外国人の指導者やチームメートとのコミュニケーションに生かしたりしようと考え、語学に時間を割くスポーツ選手が増えている。プロ野球阪神の新外国人、ジャスティン・ボーアもその一人だ。

阪神・ボーアは自宅で日本語の学習に励む(球団提供)

米大リーグ通算92本塁打の米国人打者は、自宅での過ごし方の一つに日本語学習を挙げた。4月下旬にオンライン取材に応じた際は「アナタノトコロデ(あなたの所で)」など、最近勉強したという言い回しを披露した。日本になじもうとする真面目な性格と学習の成果がうかがえた。

プロ野球DeNAの左腕、石田健大もアプリを使っての英語学習を始めた。車いすテニスの国枝慎吾(ユニクロ)は自身のフェイスブックで「最近、英語学習に力を入れています。ここに書いた以上、頑張ります」と宣言し、自宅での時間を有意義に生かすつもりだ。

セカンドキャリアを見据えたり、選手としての視野を広げたりするために、コーチング資格の取得を目指すアスリートもいる。

フィギュアスケートの世界王者、ネーサン・チェン(米国)は3月の世界選手権の中止決定後から取得準備を開始。米国協会の公式サイトによると、試験を満点で突破したという。サッカーJ1浦和のDF槙野智章も「時間に余裕ができ、B級ライセンス取得の勉強を始めた」と明かす。

陸上走り高跳びの日本記録保持者、戸辺直人(JAL)は競技のパフォーマンスを高めるヒントや効率的なトレーニング法が書かれた日本語や英語の論文を読み込んでいる。1日に2~3本、合計で4~5時間ほどかけており、「(競技に関する)動画をみている時間よりも長い」という。

戸辺は競技に関する日本語や英語の論文を読み込む=共同

1年前に筑波大大学院を修了してから競技が忙しくなり、大学院時代には目を通していた論文を読む時間がなくなった。「1年の間に新しい論文がたくさんアップデートされているので、この期間に1年分を読んでしまうつもり。(コロナ収束後に練習を再開できたときに)自分の競技やトレーニングに役立つと思う」と話す。

競技力にもつながる様々な気づきを得られるのが読書だ。昨季のプロ野球セ・リーグで新人ながら盗塁王を獲得した阪神の近本光司は心理学や潜在意識に関する本を読んだ。自分にとって快適な精神状態でいられる場所を指す「コンフォートゾーン」にとどまるより、苦手意識のある領域「ラーニングゾーン」に足を踏み出すことで成長できるという考え方を本で学び、「快適にできることの範囲を外側にどんどん広げていきたいと思うようになった」と話す。

日本体育大学の伊藤雅充教授(コーチング学)は「(自宅待機中は)体力を落とさないことが第一だが、それだけで競技力が決まるわけではない。このような状況でも成長するには、ほかにポジティブな気持ちになれることを自分で見つけ出すことが重要になる」と指摘する。

(田村城、渡辺岳史)

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