新型コロナで高齢者差別、国連総長「個人的にも憂慮」
【ニューヨーク=吉田圭織】国連は1日、新型コロナウイルスの感染者を治療する際に高齢者が差別される問題が各国・地域で浮上しているとして、改善を求める提言を出した。4月30日に71歳の誕生日を迎えたグテレス事務総長は「自身も高齢であり、年老いた母への責任もある。個人的にパンデミック(世界的流行)に対する深い懸念を抱いている」と述べた。

新型コロナは高齢者の致死率が高い。提言では高齢者は病院で治療の優先順位が低いとされたり、外出制限の長期化で家庭内でドメスティックバイオレンス(DV)を受けたりするリスクが高くなると指摘した。高齢者は現役世代とのデジタルデバイド(情報格差)から、孤立によるメンタルヘルスの悪化も招きやすいとした。
国連は、各国・地域が新型コロナ対策で高齢者問題をより意識し、全ての人に公平に医療サービスを提供する重要性を強調した。高齢者向けに、ラジオやテキストメッセージを通した情報配信を強化するよう求めた。