三井物産、原油安で減益 資源以外の収益探し急務

2020/5/1 19:18
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三井物産の業績が資源価格の下落という逆風にさらされている。1日に発表した2020年3月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前の期比5.5%減の3915億円だった。同社は利益に占める金属資源・エネルギー分野の割合が6割と高く、業績が資源市況に左右されやすい。新型コロナウイルスの影響で資源価格は一段の下落が予想され、21年3月期の純利益は1800億円と54%の大幅減を見込む。

三井物産はオンラインで決算説明会を開いた

原油価格の落ち込みは三井物産にとって想定外だった。19年4月には米国市場で1バレル60ドル程度だった原油は、産油国の協調減産の決裂で3月に20ドル台にまで落ち込んだ。同社が見込んでいた68ドル(独自指標)を大きく下回る。米国やイタリアの石油・ガス事業で減損の計上に追い込まれた。

大手商社の中で三井物産は資源・エネルギー分野への依存が大きい。伊藤忠商事は非資源分野が約8割、三菱商事も5割程度だ。安定した収益体質に向け、各社は非資源の開拓に動いてきた。

三井物産も手をこまぬいていたわけではない。18年度にはアジア有数の病院グループであるIHHヘルスケアに約2300億円を追加出資して筆頭株主になるなど、非資源分野の開拓に動いてきた。それでも20年3月期の非資源の利益は約1600億円と、中期経営計画で掲げた2000億円には届かなかった。

今期から新たな中計に取り組むが、コロナ禍の業績への影響は深刻だ。今期は「主に新型コロナが響き、利益は2000億円下押しされる」(安永竜夫社長)という。

そのうち資源・エネルギー分野が1200億円程度を占める。原油価格は石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの協調減産の合意も効果は薄く、歴史的な安値が続いている。投資を拡大している液化天然ガス(LNG)は中国やインドの需要減で余剰になっているうえ、取引は原油価格に連動した長期契約が主流。このため価格の下落は避けられなさそうだ。鉄鉱石事業も世界的なコロナの感染拡大で、自動車向けなど鉄鋼需要が急減している。

非資源分野にもコロナの影響は及ぶ。IHHはコロナ患者受け入れに積極的に取り組み、通常業務は制限される。ヘルスケア分野と自動車や航空機などのモビリティー分野、食料関係など今期は非資源で800億円の減益となりそうだ。このため今期の利益に占める資源の割合は67%と前期より上昇する見込み。

これらの状況に対応し、安永社長は「リソースの絞り込みを徹底する」と話す。コロナ禍が収束する時期を見通せない現状で投資や撤退の判断を下すのは容易ではない。それでも中計の最終年度となる23年3月期には、利益の6割をヘルスケアなど非資源分野で稼ぐ目標を掲げている。

これを実現するには資源分野のマイナス影響を最小限に抑えつつ「コロナ後」の世界を見据え、新たな収益のタネを植えることが欠かせない。攻めと守りの最適解はどこにあるのか。難しいかじ取りが求められている。

(田中裕介)

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