投信残高、最大の伸び 4月 個人マネー流入
個人投資家が資産運用に使う投資信託の規模が膨らんでいる。投資信託協会が1日発表した公募投信の4月末の純資産残高(速報値)は3月末に比べ5兆4889億円増加し、111兆8889億円となった。増加は4カ月ぶり。増加額は調査を始めた1989年1月以降で最も大きい。新型コロナウイルスの感染拡大で株価など資産の水準が低下し、投資の好機とみた個人の資金流入が続いている。資産価格の戻りも残高を押し上げた。
投信の種類別では、米国株など世界の株式を組み入れた投信や不動産投資信託(REIT)への資金流入が多い。日興リサーチセンター(東京・江東)の推計では、4月は1481億円(上場投資信託=ETFを除く)の流入超だった。
4月には米ダウ工業株30種平均が87年1月以来、約33年ぶりの上昇率となるなど、新型コロナで急落した世界の株価が戻った。日興リサーチの藤原崇幸主任研究員は「値動きが好調な米国株への流入が堅調に推移している」と指摘する。
債券や株式など幅広い資産を組み込む「バランス型」の投信からは資金が流出し、長期の上昇を期待して急落した資産を買う動きが目立った。
証券・運用業界では顧客に頻繁に投信を売買してもらうより、長期に保有してもらうビジネスモデルへの転換が進んでいる。購入手数料撤廃などの動きもあり、投資資金を積み増す動きが新型コロナによる市場の変動で強まった側面がある。つみたてNISAや確定拠出年金(DC)を通じた積み立てマネーも継続的に流入している。
QUICK資産運用研究所によると4月の国内公募投信の新規設定は7ファンドで当初設定額の合計は4億円と、共に1997年6月以降で最も少なかった。