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接触4~6割減どまり 東京・大阪、通勤移動なお

新型コロナ専門家会議分析

(更新)

新型コロナウイルスに関する政府の専門家会議は1日、人と人との接触を8割減らす目標の達成が不十分として、行動自粛などを継続すべきだと提言した。分析結果からは働き手の昼間の接触が制限しきれず、東京、大阪を中心とした都市部で接触が4~6割減にとどまるなど通勤に伴う移動が十分に抑えられていない。感染者数は減少傾向に転じたとしつつ、ウイルスとともに生きる努力を社会に強く訴えた。

専門家会議は国内の感染状況について、新規の感染者数に加え、ウイルスを1人の感染者が平均何人に移すかを示す「実効再生産数」、感染者が2倍になるまでの「倍加時間」の3つの指標から解説した。

提言によると、1日当たりの新規感染者数は、7都府県に緊急事態宣言が発令された直後は700人近くに上ったが、最近は200人程度にとどまる日も増えている。3月中下旬に「2」以上だった再生産数も、4月10日に全国で0.7、東京は0.5の値を示し、いずれも流行が収まりつつあることを表すとされる「1」を切っていた。

会議では感染者の「倍加時間」が東京都で鈍化した点も示された。直近7日間で見ると、4月1日時点の倍加時間が2.3日だったが、5月1日時点は3.8日かかっていた。

こうした点から、専門家会議の尾身茂副座長は会議後の記者会見で「新規感染者が減少していることは間違いない」との認識を示した。ただ、減少のスピードについては「期待したほどではない」とも述べた。

専門家会議は感染拡大を防ぐうえで、リスクの高い密閉、密集、密接の「3つの密」を避けることや、テレワークや時差出勤、テレビ会議など職場での対策などを求め続けている。提言では、このうち職場での取り組みに注文をつけた。

政府は当初、感染拡大防止のための人との接触を8割減らす目標を掲げた。しかし、実際に達成したかどうか評価する方法は確立していなかった。

そこで専門家会議は今回、携帯電話の位置情報などを基に、一定のエリアでの人出の減り具合と、他人との接触をどれだけ減らしたかをそれぞれ推計。この2つを掛け合わせた数値で判断することにした。

例えば、感染拡大前に比べ対象エリアの人出が6割減、他人との接触の機会も6割減ったとする。感染拡大前を「1」とすると、実際の人出と他人との接触機会はそれぞれ10分の4になる。掛け合わせると100分の16になり、感染拡大前と比較し84%減ったことになる。

今回は、東京・渋谷駅周辺と大阪・難波駅周辺から半径1キロ圏内を対象に、緊急事態宣言が発令される前の1月17日と4月24日の変化を比較した。分析の結果、10歳代~20歳代の若者らを中心に接触が80%以上減少しており、大学などの休校による効果があったとみられる。一方、30歳代以上は在宅勤務などの影響で減少もみられたが、日中は多くが8割には届いていなかった。

時間帯別では、渋谷駅周辺の平日の昼間と夕方以降の接触はそれぞれ49%減と62%減で、難波駅も29%減と41%減となり、いずれも昼間の減少幅が小さくなった。

地域間の移動に伴う接触の分析については、関東1都6県と関西の2府4県を調査。夕方以降の東京都や大阪府と近接する府県の出入りは4~6割減にとどまり、他の地域間と比べて小さいことも分かった。

いずれの分析結果も、東京、大阪など都市部での30歳代以上の勤務形態と両都市にまたがる通勤が、接触率を削減する上での壁になっていることを示した格好だ。

提言は「今後とも、一定期間は、この新たなウイルスとともに社会で生きていかなければならないことが見込まれる」とも言及した。感染拡大の防止に向け、事業者には新たな働き方の普及を強く求めており、専門家会議は次回、事業者が指針をまとめる上での基本的な考え方を示すとしている。

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