アップルが見せた新型コロナへの抵抗力 1~3月も増収

2020/5/1 11:40
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アップルは3月中旬までに中国本土の全ての直営店の営業を再開した(浙江省杭州市のアップルストア)

アップルは3月中旬までに中国本土の全ての直営店の営業を再開した(浙江省杭州市のアップルストア)

【シリコンバレー=白石武志】米アップルが新型コロナウイルスへの「抵抗力」を見せつけた。30日に発表した2020年1~3月期決算は市場の減収予想を覆し、わずかながら増収を確保した。主力のスマートフォン「iPhone」は世界規模の直営店の閉鎖などで販売減となったものの、音楽・ゲーム配信やウエアラブル端末など新たな商品・サービス群の伸びで補った。

「我々は常に次世代の技術革新に投資することで困難な状況を乗り越えてきた」。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は30日に開いたアナリスト向けの電話会見で、11年のCEO就任以来進めてきた多角化戦略がコロナ禍の危機的な局面で奏功したことを強調した。

20年1~3月期の売上高は前年同期比1%増の583億1300万ドル(約6兆2000億円)、純利益は3%減の112億4900万ドルだった。調査会社ファクトセットによると株式市場は事前予想で売上高が6%減、純利益が9%減となると見込んでいたが、アップルの発表した実績はいずれも予想を上回った。

屋台骨であるiPhoneについては、アナリストらの想定に近い水準で着地した。中国の直営店の一時閉鎖などで売上高は7%減の289億6200万ドルとなり、1~3月期としてはデータが確認できる15年以降で初めて全体の50%を下回った。

株式市場の想定を上回ったのは、アップルが新たな収益源として位置づけるアプリ配信や音楽配信などのサービス部門だ。19年には有料のニュース配信や動画配信などの新たなサービスを追加しており、20年1~3月期のサービス部門の売上高は17%増の133億4800万ドルと四半期ベースで過去最高を更新した。

15年に発売した腕時計型端末「Apple Watch」や16年発売のワイヤレスイヤホン「AirPods」など、クック氏が力を入れるウエアラブル端末も好調だった。こうした商品群はアップルのオンライン店舗の「驚異的な成長に支えられた」(クック氏)といい、ウエアラブル端末を含む周辺機器部門の売上高は62億8400万ドルと23%増加した。

アップルのサプライチェーン(供給網)は新型コロナの感染が最初に広がった中国に集中しており、2月中旬にはiPhoneの供給不足が収益に影響を与えるとして1~3月期の業績予想を取り下げていた。クック氏は30日の電話会見で「2月に一時的な供給の制約を感じたが、3月末までに生産は通常の水準に戻った」と述べ、生産面でも投資家らに安心材料を提供した。

ただ、新型コロナの影響が峠を越したかどうかは見通せていない。中国本土では3月中旬までに42ある直営店の営業を全て再開しているが、新型コロナの感染拡大に伴って3月中旬からは中華圏を除くほとんどの地域で直営店を閉鎖している。販売への影響が本格化するのは4~6月期からと見込まれている。

ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)は「短期的には見通しや確実性が欠如している」として、20年4~6月期については売上高予想は示さなかった。逆風下での増収は株式市場にとってサプライズとなったものの、先行きへの不透明感も意識され、30日の時間外取引でアップル株は終値に比べ一時3%安となった。

米調査会社ストラテジー・アナリティクスは新型コロナによって20年のスマホ出荷金額は前年比21%減少すると予測する。特にアップルが得意とする高価格帯の機種の落ち込みが大きく、シニアアナリストのイーウェン・ウー氏は「スマホ市場がかつての水準に戻るには3~4年かかる」と指摘する。

一方、世界的な外出制限によって職場でのリモートワークや学校での遠隔授業が広がり、4月に入ってからアップルではタブレット端末「iPad」やパソコン「Mac」の販売が大きく伸びているという。新型コロナが生活スタイルに与える変化は、アップル経営陣にも予想のつかなかった形で同社のiPhone依存からの脱却を早めることになりそうだ。

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