米航空大手3社、1~3月は9年ぶり赤字 新型コロナで旅客減

2020/5/1 7:35
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【ニューヨーク=大島有美子】米航空大手3社の1~3月期の決算が30日、出そろった。米東部時間30日夕(日本時間5月1日朝)に発表したユナイテッド航空の純損益は17億ドル(約1800億円)の赤字(前年同期は2億9千万ドルの黒字)だった。3社とも赤字になるのは燃料高などが響いた2011年1~3月期以来9年ぶり。新型コロナウイルス感染拡大に伴う旅客急減が収益を圧迫した。

新型コロナで旅客量が急減している(4月29日、ワシントン)=ロイター

アメリカン航空は22億ドル、デルタ航空は5億ドルそれぞれ赤字で、3社の合計赤字額は44億ドルに達した。赤字幅はリーマン危機以来の大きさとなった。ユナイテッドのオスカー・ムニョス最高経営責任者(CEO)は「航空の歴史において最悪の危機だ」と話す。大手3社に次ぐサウスウエスト航空も9400万ドルの赤字になっている。

売上高は大手3社とも減収で、合計で前年同期比18%減少した。3月の外出自粛が響きアメリカンでは1~3月の旅客収入が2割減った。「ここまで急にキャンセルが増え予約が減る経験はしたことがない」(同幹部)。原油安で燃料費は抑えられたが、人件費の膨らみなどを吸収できず赤字につながった。

各社は減便で航空機の維持費を減らすほか、従業員の早期退職や自主的な労働時間の短縮、無給休暇などを通じてコスト削減に動く。対象となる従業員はアメリカンで3万9千人、デルタで3万7千人、ユナイテッドは2万人に上る。アメリカンは4~6月期の1日当たりの現金流出量(キャッシュバーン)を従来計画比3割減の5000万ドルに減らし、手元資金の減少を抑える。デルタも6月までに費用を半減させる。

米政府は3月末に決めた経済対策で、総額500億ドルの航空会社への支援枠を設けた。9月末まで従業員の強制解雇をしないことなどを条件に、3社で従業員の給与向けに補助金と融資で162億ドルの支援を受けることで合意した。

政府支援に加え、各社は金融機関からの融資や、社債発行、公募増資で資金をつなぐことを公表している。デルタは27日に5年債を35億ドル発行。ユナイテッド航空も公募増資で1千億円を超える資金調達を実施する。

米政府は支援において「納税者が適切な対価を得られる」(ムニューシン財務長官)ことを重視している。各社が市場での資金調達に動くことは、公的支援を進める政府にとって「投資家が一定のリスクを取る価値のある会社を助けると国民にアピールできる」(米銀関係者)側面もある。

政府支援と市場での調達で、米航空大手は資金繰り難をひとまず回避した。ただ旅客収入は持ち直しの兆しが見えない。足元の旅客量は前年比で95%減で推移しており、1~3月より状況は悪化している。一部の州で経済が再開されれば移動需要も上向くとみられるが、アメリカンは旅客の輸送能力を前年比で4~5月は8割減、6月は7割減らすとしており、「回復は緩慢なものになるだろう」(ダグ・パーカーCEO)とみている。

米政府は従業員の給与向けとは別枠で融資枠を設けており、アメリカンやユナイテッドはさらに追加でそれぞれ5000億円規模の政府融資を申し込む方針だ。新型コロナの封じ込めが遅れれば、追加の資金繰り対策が必要になる可能性もある。

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