ブラジルの新型コロナ新規感染者、米に次ぐ2位に

【サンパウロ=外山尚之】ブラジル政府は30日、新型コロナウイルスの新規感染者数が7200人を超えたと発表した。国別では米国に次ぐペースで、累計感染者数・死者数とも中国を上回った。州政府は外出自粛令を発令して市民に自宅にとどまるよう要請するが、低所得者層を中心に外出せざるを得ない人が多く、隔離政策を徹底できていない。ボルソナロ大統領自ら外出自粛に反対しており、政治混乱も感染拡大に拍車をかける。
30日夕時点で累計感染者数は8万5千人、死者数は5900人を超えた。米ジョンズ・ホプキンス大の集計では、29日時点で、ブラジルの1日あたりの新規感染者数はロシアを抜き米国に次ぐ2位となっている。

感染者が多いサンパウロ州やリオデジャネイロ州では1カ月以上にわたり外出自粛令が続いており、スーパーや薬局を除く商店やレストランは店舗営業を禁止されている。
しかし、街に出ると、多くの人々が行き交っており、足元では外出自粛令を無視する商店も目立つ。政府は低所得者向けの現金給付や事業者向けの免税措置を発表しているが、もともと経済的に困窮する人が多く、効果は限定的だ。
政治混乱も感染拡大の要因だ。ボルソナロ氏は社会隔離政策を掲げる保健相を解任し、早期の経済再開を求める。連邦政府と州知事が連携できておらず、一貫性のある政策がとれていない。ボルソナロ氏は28日、死者数が増加していることについて「残念なことだ。でも私にどうしろというのか」と述べ、批判を浴びた経緯がある。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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