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「ワクチン1月に数億本」米が新計画 国・企業開発競う

(更新)
訂正 1日5時12分に掲載した「ワクチン1月に数億本、米が新計画」の記事中、英オックスフォード大学と製薬大手によるワクチン生産本数が「100万本」「100万回分」とあるのは「1億回分」の誤りでした。

【ロンドン=佐竹実、ワシントン=鳳山太成】新型コロナウイルスの予防ワクチン開発を目指し、国や企業が総力戦を展開する。トランプ米政権は2021年1月に数億本を供給するための新戦略を稼働。英オックスフォード大は製薬大手と組んで年内に1億回分の生産を目指す。ワクチン開発は通常、治験など10年近くを要する。規制緩和に加え、産官学が知見や資金力を総動員し早期の開発を目指す。

米政権の対策チームで中心的な役割を果たすファウチ米国立アレルギー感染症研究所長は30日、米テレビのインタビューでワクチン開発を迅速化する「ワープ・スピード作戦」の存在を認めた。ワクチンの有効性を確認できる前でも、生産体制の整備に必要な資金を企業に支援する。

臨床試験(治験)を進めるなかで「有効かどうかの答えが出る前に、リスクを冒して企業と生産体制の増強を始める」(ファウチ氏)。詳細は不明だが、通常は有効性を確認してから資金集めや設備建設に至る時間を大幅に短縮する。ファウチ氏は21年1月までに米国の全人口に相当する数億本の供給体制の構築に自信を示した。

米国では厚生省の生物医学先端研究開発局(BARDA)が資金を出して製薬メーカーの開発を後押しする仕組みがある。今回もBARDAを通して資金を出すかは不明だが、企業の設備投資資金を政府が肩代わりする形になるとみられる。

最終的には税金を払う国民がリスクを負うが、「非常時」として理解を得られやすい。

一方、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学は30日、予防のワクチンの開発で提携すると発表した。同大はすでに18~55歳を対象に治験を始めており、5月中にデータがそろう見通しだ。効果を見極めた上で6月までにより広範な治験に移る。アストラゼネカが製造や供給を担い、早ければ年内に1億回分を生産し世界に供給することを目指す。

英政府はワクチン製造を後押ししており、同大に2000万ポンド(約27億円)の助成金を出すと表明した。治験の迅速化のために、規制の見直しも柔軟に対応する。新型コロナに関する治験は他のワクチンより優先し、申請から1週間程度で認可する方針だ。

「メガファーマ」と呼ばれる製薬大手からも、決算会見などで開発の進捗をアピールする経営トップの発言が相次いでいる。

「早ければ年内に数百万本単位で量産したい」。米ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は28日の決算発表会で強調した。ドイツのバイオ新興企業とワクチンを共同開発中で、独当局から治験に必要な認可を得た。既存のワクチン製造施設で量産できる体制作りを進めており、21年には億本単位での供給が可能になるとの見通しも示した。

米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、9月までに複数のサンプルの臨床試験を行い、21年初頭の供給を目指す。米国と海外の生産能力を増強し、世界で10億回以上を接種できる量を早期に用意する。「我々はこのような厳しい時期と向き合うために存在する。専門知識と資金力を総動員する」(アレックス・ゴルスキーCEO)

ワクチン世界大手の英グラクソ・スミスクライン(GSK)は、仏サノフィなど7社・機関と共同でワクチンを開発している。エマ・ウォルムズリーCEOは「うまくいけば、数億という数のワクチンを製造するのは来年後半になるだろう」と見通す。欧州勢はやや遅れている感がある。GSKはライバルであるサノフィと組んだのも、知見を総動員して開発を進めるためだ。

新型コロナの世界の感染者数は320万人を超えた。一部地域では沈静化の兆しも見えるが、収束後に再び感染が広がる「第2波」への懸念もある。経済活動を本格的に再開するには、感染患者に投与して回復を早める治療薬に加え、予防するワクチンの開発が不可欠だ。

ワクチンの開発には通常、治験などのために10年近くかかる。各国政府は規制緩和など特例措置を出すことで、早期開発の後押しをしている。一方、通常よりも開発期間が短いだけに副作用を含め安全性をどう確保するかも課題になる。

一方、米製薬大手ギリアド・サイエンシズが30日、治療薬候補「レムデシビル」の生産を年内に100万人分に引き上げられるとの見通しを示すなど、治療薬を巡っても開発競争が活発になっている。

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