米、失業保険申請さらに380万件 6週で3000万件超す

2020/4/30 21:38
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【ワシントン=河浪武史】米労働省が4月30日発表した失業保険の新規申請件数(季節調整済み)は、同25日までの1週間で383万9千件となり、前週(444万件)からやや減速した。ただ、新型コロナウイルスの猛威によって、申請数は6週間で3000万件を突破。米労働市場では6人に1人が職を離れた計算になる。連邦政府の雇用対策も対象業種のミスマッチが浮き彫りだ。

失業保険の申請数は市場予測(350万件)をやや上回った。週600万件強を記録した3月下旬に比べ減速したものの、なお過去例のない高水準だ。新型コロナの発生前は、1982年10月の週69万件が最大だった。

3月時点の米労働人口は1億6300万人だった。その後に3000万人が一時帰休や解雇などを迫られた計算で、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン前議長は「既に失業率は15%前後に達した」と指摘する。4月の失業率は、リーマン・ショック後の最悪時(09年10月、10.0%)や戦後最悪の水準(1982年12月、10.8%)を突破する可能性がある。

トランプ政権は中小企業(従業員500人以下)の給与支払いを肩代わりする6600億ドルの雇用維持策を発動した。ムニューシン財務長官は「6000万人分の雇用維持効果がある」と主張するが、雇用悪化に歯止めがかかったとは言いがたい。中小企業への資金支援は民間銀行が窓口になるが、最も打撃の大きい飲食店は零細企業も多く、有力銀行に十分なチャネルを持たないためだ。

3月の雇用統計をみると就業者数は前月比70万人も減ったが、なかでも宿泊・飲食業が45万人減と圧倒的に大きい。逆にこれまでの中小支援の資金の行き先は、建設業が全体の13%、製造業が12%で、いずれも営業を一部継続する産業だ。宿泊・飲食業は9%にとどまり、政府資金には大きなミスマッチがある。

FRBのパウエル議長は29日の記者会見で、失業が長期化すれば「労働者はスキルを失ってキャリアを再開しにくくなる」と強く懸念した。中小企業の廃業・倒産も「無形の創造力が失われ、経済を長期的に損なうリスクがある」と話す。経済成長の二大要素である労働力人口と生産性の低下につながり、米経済の潜在力そのものを押し下げるリスクが強まる。

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