GWの音楽祭中止も「ベートーヴェン」再挑戦の機運

2020/5/4 2:00
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2020年はベートーヴェンの生誕250年。クラシック音楽界が大いに盛り上がる好機だったが、新型コロナウイルスの打撃を受けている。大型連休の風物詩となった音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO」も「Beethoven――ベートーヴェン」と直球のテーマを掲げたが、05年の開始以来初の中止に追い込まれた。

過去のラ・フォル・ジュルネの様子。中央が梶本社長(C)teamMiura

過去のラ・フォル・ジュルネの様子。中央が梶本社長(C)teamMiura

同音楽祭の来場者数は近年、四十数万人で推移していた。今回は交響曲やピアノソナタを全曲演奏する本格的な公演だけでなく、オマージュ作品を上演したり、来場者全員で第九を歌ったりと生誕年を祝い尽くす内容だった。企画にあたる音楽事務所KAJIMOTOの梶本眞秀社長は「数を追求しているわけではないが、入場者は増えると予想していた」と残念がる。

一方で梶本社長は「フォル・ジュルネは音楽で国や民族、宗教を乗り越えようというもの。今はその精神で、地球規模でコロナにどう対抗するかを考えるべき時だ」と指摘。用意していた企画も「次回挑戦したい」と前を向く。

来年については今後、関係者間で開催の可否から協議するが、梶本社長は感染が終息すれば同じテーマで再挑戦する意向だ。ドイツのベートーヴェン周年記念財団が生誕250周年を祝う期間を21年9月までとするなど、世界でベートーヴェンイヤー"延長"の機運が生まれていることも後押しとなりそうだ。

音楽祭アーティスティック・ディレクターのルネ・マルタンは「ベートーヴェンは生まれてから一度も忘れ去られることなく演奏し続けられてきた」と述べ、記念イヤーにこだわっていないという。「苦悩を突き抜けて歓喜に至れ」――。こんな言葉を残した楽聖の音楽は、難局を乗り越えたあとにこそ、格別に聞こえるだろう。

(西原幹喜)

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