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マスターズより今は「ステイホーム」 世界2位ラーム

2020/5/3 3:00
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ゴルフのPGAツアー3勝を含む米欧9勝を誇り、3月の凍結時点での世界ランク2位につける25歳、ジョン・ラーム(スペイン)は、昨年12月に結婚した妻と新型コロナウイルスの感染拡大を避けるため米アリゾナ州で自宅待機の生活を送る。ゴルファー世界一、なかでも憧れのマスターズ・トーナメント制覇をめざす闘志が衰えることはないが、たとえゴルファーでもいまできることは「ステイホーム」。スペインに住む高齢の祖母や友人を思う日々だと語る。

妻と2人、ジグソーパズルで時のたつのを忘れる(本人提供)

妻と2人、ジグソーパズルで時のたつのを忘れる(本人提供)

3月12日、米フロリダ州のTPCソーグラスで開催されたザ・プレーヤーズ選手権第1日の終了後、大会は中止が決定。PGAツアーは中断となり、ラームの姿もゴルフコースから消えた。

常に浮き沈みのあるゴルフから学んだ

「今は自分のことだけ考えていればいい時ではない。若い人たちはウイルスに感染しても大事に至らないと考えがちだけれど、私たちは世の中全体について思いを致さないと。自分になんら症状がなくても人に感染させる可能性があり、それがどこまで届くのか、誰が影響を受けるのかわからない」

「ミレニアル世代のみなさん、あなたの行動をあらためて考え直してください。若い人は感染リスクが少ないとはいえ、最も影響を受けているのは高齢者。家から出ず、社会的な距離を保ち、こまめに手を洗いましょう。やるべきことはそれほどお金がかからないことばかりです」

「(米アリゾナ州の自宅にいる)私の心はスペインの家族とともにある。そこには85歳になる祖母もいて、定期的に連絡を取り合っている。外出自粛のなか、みんな気持ちも元気。看護師、医師をはじめ、困っている人々を助けようと奮闘しているすべての医療関係者に対してはどれほど感謝しても言い尽くすことができない」

アマチュア時代は米大学ゴルフ部の強豪、アリゾナ州立大でプレー。フィル・ミケルソンの後輩となる。米大学ゴルフの年間最優秀選手賞にあたる「ベン・ホーガン賞」を15、16年と史上初めて2回獲得したあと、プロ転向。自宅待機を余儀なくされた現在の苦境を乗り切るヒントもすべてゴルフから学べるという。

「プロゴルフの世界に飛び込んだ私は、若くして失敗から学ぶ術を身につけた。物事がうまくいかない多くの経験を通し、自分を客観的に見て、頭を整理することを覚えた。こうした経験から学んだからこそ今の自分があるのだと思う」

「ゴルフには常に浮き沈みがある。幼くしてゴルフを始めた時から世界ナンバーワンになることをめざしてきたけれど、目標にまい進していると思える時もあれば、近づいていると思えない時もある。それが現実というもの。自信をもって戦い続けなくては」

コースでラームがプレーする姿は中止となったザ・プレーヤーズ選手権第1日が最後となっている=USA TODAY

コースでラームがプレーする姿は中止となったザ・プレーヤーズ選手権第1日が最後となっている=USA TODAY

「プロゴルファーという立場はプラスにもマイナスにも大きな影響をもたらすことを実感する。この素晴らしいプラットフォームをどのように生かして社会のためになるかは自分次第。自分に憧れてくれる子供もたくさんいるし、彼らの手本にならなければいけないことも分かっている」

「まず最初に、勝っても負けても常に謙虚に振る舞いましょう。トーナメントに負けたとしても私は絶対に怒りません。だって勝者は誰よりもいいプレーをしたのですから。まずはそう考えること。ゴルフという競技では、あらゆる場面で誠実さが求められ、正しくないことをすれば自分自身にペナルティーを課すのです」

メジャー制覇は射程圏内

「人生と同じく、ゴルフも長い時間をかけて一生懸命努力しなければ。人としても、それ以外のことでも、努力を惜しんでおいて成長はない。その過程は一貫して右肩上がりとはいかず、よい時もあれば悪い時もある。最悪もあれば最高と思える瞬間も。経験を積み、努力を重ねることで、よい期間をさらによく、落ち込みを少なくできるはず」

いつメジャー制覇を果たしても不思議はない実力者。なかでも初出場の17年に27位、18年に4位、19年に9位と安定した好成績を残しているマスターズ・トーナメントへの思い入れが強い。

「1年ほど前、3度目のマスターズを9位タイとまずまずの成績で終えた。それまでの過去2年、最終日を上位で迎えはしてもトップとはやや離れていた。願わくば(11月に延期された)次回のマスターズでは3日間をもっとうまく乗り切り、勝つ可能性の高い位置で日曜日を迎えたい。もし勝てば、来年のマスターズのチャンピオンズディナーでは(ともにマスターズ2勝のスペインの先輩)セベ・バレステロス、ホセマリア・オラサバルがしたように極上のTボーンステーキを出すつもり」

「去年の今ごろ、ライアン・パーマー(米国)とのコンビで(ツアー唯一のダブルス大会)チューリッヒ・クラシックを勝った。彼とはとても気が合い、ともにフェードヒッターだからゲームプランもよく似ている。あの1週間は2人そろって非常にうまくプレーできた」

自宅で体を動かすラームは身長188センチ、体重100キロ(本人提供)

自宅で体を動かすラームは身長188センチ、体重100キロ(本人提供)

「そのチューリッヒを含むトーナメントがキャンセル、または延期された現在の状況において、私たち一人ひとりにおいて最も大切なことは個人の責任を自覚し、ウイルスを拡散させないためにできることすべてを行うこと。『ステイホーム』が必要なら、私たちゴルファーも家にとどまる」

「妻のケリーと私はここ数週間、家で忙しく、健康で精神的にもフレッシュな状態を保ち、運動し、パズルをやっています。まもなくPGAツアーが再開し、みなさんに再びお会いできるのを楽しみにしています。それまでの間は、体に気をつけてステイホームを」

(PGAツアーへのインタビューから構成した)

(串田孝義)

 
ジョン・ラーム 1994年11月10日、スペイン生まれ。米アリゾナ州立大時代に世界アマチュアランキング1位に輝き、16年全米オープンでローアマ(23位)を獲得後にプロ転向。17年のファーマーズインシュランスオープンでツアー初優勝、19年には3勝した欧州ツアーの年間王者となった。188センチ、100キロ。
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