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在宅勤務に「月末の壁」 請求書など電子化の契機にも

新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言の延長方針が固まるなか、請求書などの処理のため、在宅勤務中でも月末に出勤を迫られる会社員が後を絶たない。全社的にテレワークを進めても取引先が紙ベースだったり、押印が必要だったり。企業の中にはこれをきっかけに請求書の電子化などに踏み切る動きもある。

30日朝も東京・豊洲はマスク姿で出勤する会社員らが列をなしていた。午前9時ごろ東京都心を走っていた電車内は、なお座れないほどの通勤客が乗っていた。

「4月の最終週に入り、請求書や書類への押印などの月次処理のため出社を余儀なくされる企業が増えた」。テレワークの普及に取り組む企業の有志団体「TDMテレワーク実行委員会」の長沼史宏委員長が指摘する。

同委員会が加盟24社にアンケートしたところ、6割にあたる15社で月末に集中する請求書処理などの出社が発生していた。「せっかく社内でテレワークを進めても『ハンコ文化』の中では限界がある。緊急事態が延長されても同様の出社は続きそうで、社会全体でハンコや請求処理の電子化を進めるべきだ」(長沼委員長)

「PDFってなんですか?」。ネット上で宅配クリーニングサービスを展開する東京都内の企業の担当者は4月下旬、これまでファクスで受け取っていた請求書を、PDFファイルに変換した上でメールに添付する方法に切り替えてほしいと持ち掛けた際、取引先の担当者にそう尋ねられた。

新型コロナの感染拡大を受け、同社はテレワークを推進。出社の社員を減らすため、取引先の協力を得ながら請求書の電子化を進めた。ただ、一部の取引先は電子化になじみがなく、4月末もファクスや郵送で次々と請求書が舞い込んだ。担当者は「大切な取引先に変わりはなく、自社のやり方を押しつけるわけにいかないし……」と悩みながら交代で出社している。

緊急事態宣言に先立ち、本社勤務の社員約60人全員を原則在宅勤務にした大阪市のソフトウエア開発会社。社内の経費精算にオンライン申請システムを導入し、なるべく社員が出社しなくてすむように工夫したが、それでも月末は取引先との契約書類の処理などが多く、担当する2人の社員が28日に出社した。

「オンライン決済に対応していない取引先との契約や、特に重要な契約には紙へのなつ印が必要になる」と担当者。契約に関する書類が郵便物として届くこともあり「定期的に確認が必要だ」。

一方で、未曽有のコロナ禍を業務電子化の転機にしようという企業もある。

殺虫剤などの衛生製品を扱うアース製薬は、在宅勤務の本格導入をきっかけに、出社して郵送対応などしていた紙の請求書や領収書を電子化する方針だ。ペーパーレス化の促進を図る狙いといい、担当者は「年内をめどに電子化の新システム構築を目指す予定。新型コロナの危機を逆に利用し、業務の効率化に取り組んでいきたい」と話している。

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