人気作家がネットで掌編をリレー連載

人気作家が短い小説やエッセーを日替わりで連載し、インターネット上で無料公開する企画「Day to Day」が5月1日から始まる。講談社、ウェブシステム開発などを手がける未来創造(東京・新宿)が運営する文芸ニュースサイト「TREE」で掲載される。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令で、書店や図書館の一部が臨時休業・休館を余儀なくされている。物語と出合える場が減っているなかで、作家と出版社にできることは何かと考えた結果、生まれた企画という。賛同した作家は現在、60人を超えた。
時間が過ぎてもこの時のことを忘れずに前に進めるようなものでありたいとの考えから、作品の舞台は「2020年4月1日以降の日本」とした。初日は「鍵のない夢を見る」(直木賞)、「かがみの孤城」(本屋大賞)などで知られる辻村深月が1カ月前にあたる「4月1日」を描いた作品を執筆し、掲載される。翌2日は「4月2日」といった具合に、作品の舞台は1日ずつ進んでいく。2300冊以上を翻訳した出版専門の翻訳会社であるトランネット(東京・港)が英訳、野間文芸翻訳賞を受賞している翻訳家の岳遠坤氏が中国語訳をそれぞれ担当し、各作品は3カ国語で掲載される。
作家は辻村のほか、前日本ペンクラブ会長で直木賞選考委員の浅田次郎、元日本推理作家協会代表理事の今野敏、膨大なミステリーを世に送り出してきた赤川次郎や西村京太郎、直木賞作家の朝井まかて、恩田陸、重松清、「流浪の月」で今年の本屋大賞を受賞したばかりの凪良ゆうら、多彩な顔ぶれが参加している。「テレビでもSNSでもコロナに関する情報があふれるなか、物語を楽しんでもらうことで、少しでも読者の心が明るくなることを期待したい」と担当編集者の鍜治佑介氏は話す。
(中野稔)

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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