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米GDP、戦後最大の減少に 4~6月は年率40%予測

(更新)
新型コロナを理由に廃業する事業者も相次いでいる(米中西部ミシガン州)=AP

【ワシントン=河浪武史】米国の実質国内総生産(GDP)は、4~6月期に年率換算で前期比40%減と戦後最悪のマイナス成長が予想される。新型コロナウイルスによる経済封鎖で大手企業にも経営不安が広がり、失業率も10%を突破しそうだ。トランプ政権は3兆ドルの財政出動でV字回復を目指してきたが、想定以上のコロナショックにさらなる追加経済対策の検討に入る。

米国有数の高級百貨店、ニーマン・マーカスは4月中にも破産法の適用を申請する方向だ。1万4千人もの従業員を抱えるが、新型コロナで全店休業を余儀なくされた。レンタカー大手のハーツ・グローバルも旅行需要が失われて従業員1万人を解雇すると発表。足元では大手企業の経営不安が相次ぎ表面化する。

1~3月期の成長率は4.8%のマイナスだった。景気の落ち込みは4月以降さらに強まり、大規模小売店は24日までの1週間で、売上高が前年比44%も減少。飲食店も通常営業ができず、1200万人の従業員のうち既に800万人が解雇や帰休の対象になったと試算される。失業保険の申請数は1カ月強で2600万件を超え、労働者の7人に1人が既に職を離れた計算だ。

党派中立機関の米議会予算局(CBO)は、4~6月期の成長率が前期比11.8%減と、年率換算ならマイナス39.6%に落ち込むと予測する。金融危機だった08年10~12月期(年率8.4%減)の5倍近い悪化になる。4%台だった失業率は、戦後で最悪となる15%前後に達しそうだ。

米政権は3月以降、立て続けに合計3兆ドル弱の財政出動を決定。トランプ大統領は「景気はV字型の回復をなし遂げる」と主張する。中小・中堅企業(従業員500人以下)には6600億ドルもの資金を用意して、給与支払いを連邦政府が肩代わりする。ムニューシン財務長官は「6000万人分の雇用維持効果がある」と主張。経済収縮の食い止めを急ぐ。

南部ジョージア州やテキサス州などでは、新型コロナの封じ込めをにらみ、経済活動再開の動きもある。企業では、航空機大手のボーイングが3日に商用機3工場がすべて再稼働する。CBOは7~9月期には年率23.5%の大幅なプラス成長に戻ると予測。通年では5%台のマイナスとみる。

ただ、米国は感染者数が100万人を超え、経済再開は大きな賭けだ。自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)も早期の生産再開を探るが、労働組合は「リスクが高い」と反発する。食肉工場では全米74カ所で感染者が確認され、操業が一部停止して豚肉などの価格が上昇し始めた。米経済を支えるサプライチェーン(供給網)のほころびは、新型コロナで揺れる生活をさらに脅かす。

企業の倒産や労働者の失業が膨らめば、V字回復の基盤が失われて、経済は長期停滞に陥りかねない。全米レストラン協会は、新型コロナで営業を制限された飲食店は一時休業にとどまらず、最大で20%が廃業を余儀なくされる可能性があると指摘する。4月以降の想定を超す景気の急落は、回復軌道の楽観視を許さない。

米政権も3兆ドルの経済対策ではV字回復は困難だと判断しつつある。トランプ大統領は追加策に着手する方針で、内需喚起に向けた大型減税や、雇用の受け皿となるインフラ投資に言及。中小企業の給与補填策も6月末までの時限措置で、延長論が浮上しそうだ。米連邦政府の財政出動は既にGDP比15%と過去最大だが、さらに1兆ドル程度積み増す可能性がある。

もっとも、景気回復の前提は新型コロナの早期封じ込めだ。トランプ政権は検査能力の増強など医療体制の整備にも1000億ドルの追加資金を充てた。経済と社会を立て直すには、さらなる複合戦略が必要になる。

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