世界の労働者16億人が生計の危機、ILO予測

2020/4/29 20:30
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【ジュネーブ=細川倫太郎】国際労働機関(ILO)は29日、新型コロナウイルスの影響で、世界の労働者の約半数にあたる16億人が生計を失う危機にさらされているとの報告書をまとめた。外出制限などで労働市場で立場の弱い「非公式経済」の就業者の収入が大きく落ち込む。放置すれば経済への打撃だけでなく、社会不安にもつながりかねない。

非公式経済の就業者は小売業などで働いているケースが多い(レバノン)=AP

非公式経済の就業者は、公式統計に表れにくい露天商や建設現場の労働者などを指す。世界で20億人超と就業者の6割を上回り、失業給付など公式の安全ネットの枠外にある。大半は途上国や新興国で暮らしている。

報告書によると22日時点で、11億人の非公式経済の就業者が完全にロックダウン(都市封鎖)している国で働く。特に工場や店舗の閉鎖で最も影響を受ける製造業、小売業などに従事する人が多いとしている。

所得損失は大きく、最初の1カ月間で収入は新型コロナの流行前に比べ6割減ると予測する。地域別ではアフリカと南北アメリカ大陸で働く人がそれぞれ81%減と最も厳しく、次いで欧州・中央アジア(70%減)、アジア太平洋(22%減)と続く。代わりの収入源がなければ貧困層が広がり、犯罪の増加を招く恐れもある。

欧米など一部では感染のペースが鈍化してきたが、現在も企業活動の自粛を求めている国は多い。報告書によると、2020年1~3月の世界の総労働時間は、19年10~12月に比べ推定4.5%減った。20年4~6月は10.5%減と一段のマイナスを予想する。フルタイムの労働者3億500万人が職を失う計算で、4月上旬の前回予測(1億9500万人)よりも大幅に悪化する。

ILOは中小企業や労働者向けに迅速な対策が必要と訴えた。失業給付を受ける手続きの簡素化や、資金繰り支援のため融資保証を利用しやすくすることなどを挙げた。長期では雇用を増やすため大規模な公共投資も必要とした。財政に余裕がない途上国や新興国の債務負担の緩和も求めた。

ライダー事務局長は「パンデミック(世界的な大流行)と雇用危機が進展するにつれ、緊急に最も脆弱な人々を保護する必要性が増している」と話している。

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