中小企業の破産回避へ倒産基準緩和 ドイツやインド

2020/5/8 0:00 (2020/5/8 5:28更新)
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新型コロナウイルスの影響で企業の資金繰りが厳しくなるなか、中小企業の破綻が相次ぐのを避けるために各国が倒産基準を緩和する特例措置に乗り出した。ドイツやインドなどは破産申請義務を停止し、資金繰りも支援することで本来なら健全な企業まで倒れるのを回避する。経済活動が再開して事業環境が回復するまで産業基盤である中小企業を支え、雇用の維持を図る。

中小企業は一般的に経営基盤が弱く、経済活動の停滞で資金繰りに苦しみやすい。債務の支払いができなくなると破産などの整理手続きに入るのが一般的だ。通常なら破産申請は財産を保全し借金の返済にあてるため債権者の保護につながる。しかし不振が続く企業ではなく一時的に資金繰りが悪化しただけの企業まで破綻させると信用不安が連鎖しかねない。

「企業の破産申請はなんとしても避けなければならない」(ランブレヒト独法相)。ドイツ政府はこれまで支払い不能などに陥ってから3週間以内としていた破産申請の義務付けを、9月末まで停止すると決めた。新型コロナが原因の場合に限り、倒産を事実上棚上げする異例の措置だ。

ドイツ政府は新規感染者が減り続けているとして商店の営業再開などの経済規制の緩和策を発表したが、中小企業の資金繰りは依然厳しい。破産を猶予することで、同国の輸出主導型経済を支える産業基盤を維持する狙い。当面の資金繰りを支援するため政府が無制限の信用供与を決めたほか、零細企業や個人事業主への現金給付も進める。事業継続が期待できるので債権者は破産で債権回収を急ぐ必要がない。

インドは約1億2千万人が働く中小企業が雇用の受け皿となっているが、3月25日からの全土封鎖で資金繰りに行き詰まる企業が増えた。政府は破産倒産法の一部を停止し、破産申し立てを6カ月間中止すると決めた。スペインでも非常事態宣言中は破産申し立ての義務を免除する。

企業が支払い不能と認定される債務額を引き上げ、破綻基準を緩和した国もある。シンガポールは1万シンガポールドル(約76万円)から10万シンガポールドルに変更。オーストラリアも基準を2000豪ドル(約14万円)から2万豪ドルにした。

日本では7日までに新型コロナの影響で計119社が倒産した(帝国データバンク調べ)。外出自粛が飲食店など零細・中小企業に直撃したとみられ、2020年の倒産件数は7年ぶりに1万件に達するとの見方がある。緊急事態宣言が今月末まで延長されたことで資金枯渇する企業が増える恐れもあり、給付金支給などの支援が遅れれば資金繰りはさらに悪化しそうだ。

全国銀行協会は手形や小切手の不渡り処分を当面猶予する措置を始めた。期日までに手形を決済できなくても取引を停止しない。同様の措置は阪神大震災や東日本大震災時も実施したが、今回はそれだけでは足りないとの見方も多い。

(ベルリン=石川潤、山崎純)

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