九州各県、平日の人出減り鈍く 博多駅で6割減届かず

2020/4/28 22:58
保存
共有
印刷
その他

外出自粛要請で出歩く人の姿が減ったJR博多駅(27日午前、福岡市)

外出自粛要請で出歩く人の姿が減ったJR博多駅(27日午前、福岡市)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が全国に広がって約2週間。九州各県の主な都市の平日の人出を調べると、思うように減っていない現状が浮き彫りになった。JR博多駅(福岡市)周辺の27日朝の人出の減少幅は1月比で57%にとどまり、政府が求める「人との接触8割減」に遠く及ばなかった。専門家は「在宅勤務をさらに進めて人出を減らす必要がある」と指摘する。

スマートフォンの位置情報を基に推計人口を算出しているソフトバンク系のアグープ(東京・渋谷)からデータ提供を受け、九州各県の主要駅周辺の27日午前8時台の滞在人口の推計値を分析した。

新型コロナの感染が本格化する前の1月27日の同時間帯と比較すると、JR博多駅は57%減、西鉄福岡(天神)駅は50%減だった。外出自粛要請を受け、人出は大幅に減っているが、1週間前の4月20日の同時間帯と比べると、両駅とも減少幅は広がっていない。

27日午前8時台のJR東京駅は69%減、JR大阪駅は71%減で、福岡は他の大都市圏と比べても減少が鈍かった。

「以前に比べると電車内はかなり人が減った印象」。27日午前8時ごろ、JR博多駅にいた通勤途中の機械メーカーの男性(51)は驚いた表情で話す。ただ駅では通勤客らがひっきりなしに行き交い、感染を防ぐため人との距離を保つ「ソーシャル・ディスタンシング」の基準となる約2メートルを確保できていない状況だ。

外出自粛要請で出歩く人の姿が減ったJR博多駅前(27日午前、福岡市)

外出自粛要請で出歩く人の姿が減ったJR博多駅前(27日午前、福岡市)

政府は「出社の7割減」を求め、テレワークの実施を推奨しているが、「機密情報が多く、持ち帰れない仕事がほとんど」(機械メーカーの51歳男性)との意見も。福岡市中央区の男性会社員(27)は「ビデオ会議では距離感をつかめない。顧客対応のため出勤しなければいけないこともある」とこぼした。

福岡以外の各県では、平日の人出の減りはさらに鈍い。JR熊本駅(熊本市)の27日朝の人出は1月比で48%減、沖縄都市モノレール「ゆいレール」の県庁前駅(那覇市)は44%減と4割を超えたが、JR佐賀駅(佐賀市)は18%減、JR大分駅(大分市)は26%にとどまった。

一方で、休日の人出は各県の休業要請などもあり、平日に比べると減少幅が大きかった。

日曜日だった4月26日午後3時台のJR鹿児島中央駅(鹿児島市)の人出は、同じ日曜日の1月26日に比べて5割減った。同市最大の繁華街、天文館で物産店を営む男性店長(66)は「こんなに人が少ない天文館は初めて」と話す。那覇市の繁華街「国際通り」に近い「ゆいレール」県庁前駅の26日の人出も同じく約5割減少した。

ただ、まもなく始まる大型連休で帰省や観光による人出の増加を懸念する声もある。天文館の物産店は従業員の感染リスクを考え、5月1日から6日まで休業することを決断した。

大型連休中(4月29日~5月6日)の沖縄発着便の予約人数は前年に比べ大幅に減っているが、日本航空が延べ1万5476人(22日時点)、全日本空輸が同1万6247人(28日時点)に上る。玉城デニー知事は26日、ツイッターで「どうか今の沖縄への旅はキャンセルして受け入れ可能な時期までお待ちください」と呼びかけた。

九州大大学院医学研究院の柳雄介教授(ウイルス学)は「連休中に人出が増えれば、感染がまた一気に増える可能性がある。今は気を緩める段階ではない。外出を控えてほしい」と強調する。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]