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三井住友とSBI、速攻決着 「楽天証券買収」は不発

三井住友銀行とSBI証券のスマホアプリ

三井住友フィナンシャルグループ(FG)とSBIホールディングス(HD)が28日、包括提携すると正式発表した。スマートフォン金融や対面営業など互いの強みを生かすことで思惑が一致。手数料の無料化や顧客の高齢化など事業環境の激変に対応する。金融業界で「デジタル」と「リアル」の陣取り合戦が繰り広げられるなか、既存の大手が組んで対抗する。

「近未来の金融地図を見通し、互いが果実を得られる戦略的な提携ができた」。28日、SBIHDの決算説明会で北尾吉孝社長は力を込めた。

三井住友フィナンシャルグループの太田純社長

交渉が本格化したのは2月中旬だ。手数料引き下げ競争が激しさを増し、代わりの収益源を見いだしたいSBIHD。自前主義に限界を感じ、外部との提携に活路を求めた三井住友FG。北尾氏は会見で「双方がリーダーシップを取った。太田さんでなければ難しかった」と話し、三井住友FGの太田純社長とのパイプを強調した。

三井住友FGにも提携の方向感をめぐって複数案が出ていたが、トップの親近感が異例のスピード合意に導いた。

実は三井住友FGにはほかにも候補がいた。昨年、秋から冬にかけ検討されたのが楽天証券の買収だ。中核子会社のSMBC日興証券は販売力で大手の一角を占めるがデジタル分野は手薄。野村HDがLINE(ライン)と協業し、大和証券は独自でネット分野を開拓する中で出遅れていた。

親会社の楽天が期待した売却額は3千億~4千億円。楽天市場を中心とする楽天経済圏からの切り離しという条件もつき、交渉は打ち切りになった。「ヤフー」のZホールディングス・LINE陣営と組む案も浮上したが、「現実的なSBI」(関係者)に落ち着く。

包括提携に踏み出した両社の突破口はどこにあるのか。

記者会見するSBIホールディングスの北尾吉孝社長

一つはスマホ金融だ。SBIHDは傘下にスマホ専業のSBIネオモバイル証券(東京・港)を持ち、三井住友FGから2割の出資を受ける。買い物のポイントを投資資金に回せるサービスが売りで、デジタルに親しむ20~30代の若年層が主要顧客。ネオモバイルで資産形成層を掘り起こし、保険や資産運用といった両社のサービスに呼び込む青写真を描く。

もう一つは三井住友FGが持つリアルの全国ネットワーク。

SMBC日興は全国に141の支店網がある。対するSBIの資産運用の相談窓口「SBIマネープラザ」は約30店。富裕層などの資産運用を通じ、株式のネット取引で得る手数料収入から、顧客と長期に関係を結んで収益を得るビジネスへの転換を急ぐが、営業力はまだ弱い。

強い個性のリーダーが引っ張る異例のタッグだが、提携効果をいかに素早く引き出せるかが今後の課題となる。

融資や個人向け証券といった本丸でどれだけ互いの関与を許すかや、本体同士の資本提携に発展するかが焦点。北尾氏は28日、「メインバンクのみずほ銀行に恩をあだで返すことはない」と話した。みずほが巻き返しに出る可能性もある。

IT(情報技術)や携帯電話関連の企業が本業で築いた顧客網を武器に金融サービス市場をうかがう。だが簡単に収益には結びつかない。

auカブコム証券は今も株式の過半を三菱UFJフィナンシャル・グループが保有するが、相乗効果は少ないとみられ、KDDIの出資受け入れにつながった。SBIはZHDとも金融事業で包括提携を結ぶが成果を出すのはこれから。北尾氏は「双方にウィンウィンなのか吟味しながら考える」と話すにとどめた。

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