中国電力、前期純利益7.9倍 引当金取り崩しで
中国電力が28日発表した2020年3月期の連結決算は、純利益が前の期比7.9倍の900億円だった。経済産業省令の改正に伴い、原子力発電所の工事に備えた引当金を取り崩したことが利益を押し上げた。ただ販売電力量は減少傾向が続いており、事業環境は依然として厳しい。
売上高は2%減の1兆3473億円だった。販売電力量が5%減の502億キロワット時になるなど、電気料金収入が減少したことが響いた。営業利益は2.5倍の481億円。発電設備など固定資産の減価償却方法を変えた効果が出たほか、燃料価格の低下で原料費が抑えられた。
21年3月期の連結業績予想については、新型コロナウイルス感染拡大の影響で先行きが見通せないため「未定」とした。足元では工場の操業停止や大型商業施設の休業などで、販売電力量が減ることが見込まれる。
島根原子力発電所の審査会合が約1カ月中断するなど新型コロナの影響は随所に出ている。5月の連休では例年、工場の稼働率が下がることで常に同じ量を保つ必要がある電力の需要と供給のバランスがずれやすい。今年は商業施設の休業なども背景に、例年を上回る需要減が予想される。
電力の需給調整を手掛ける中国電力ネットワークは、太陽光や風力の発電業者に稼働停止を求める「出力制御」も視野に入れながら対応策を練っている。
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