米スタートアップ投資、コロナで進む「選別と集中」

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、米国のスタートアップ投資の選別傾向が強まっている。CBインサイツなどの調べによると、2020年1~3月期のスタートアップ企業の資金調達は、件数では減ったものの、金額では引き続き堅調だった。1回の調達額が1億ドル以上の「メガラウンド」が増えており、投資マネーは一部の有望スタートアップ企業に集中している。
1~3月期にはベンチャーキャピタル(VC)から出資を受ける米スタートアップ企業の資金調達件数は前四半期よりも減ったが、メガラウンドが増えたことから、調達額は引き続き堅調だった。
1~3月期の米スタートアップの資金調達件数は1271件で、前年同期比16%減、前四半期比9%減だった。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が響き、調達件数は3四半期連続で減少した。

一方、1~3月期の資金調達額は前四半期比14%増の264億ドルだった。メガラウンドが増えたことが寄与した。
1~3月期のメガラウンドは58件で、前四半期比50%近く増えた。メガラウンドは1~3月期の資金調達額全体の45%を占めた。

1~3月期の米スタートアップによる資金調達で調達額が最も多かったのは、電子たばこメーカーのジュール・ラブズ(Juul Labs)による案件(調達額7億ドル)で、空飛ぶタクシーの開発を手がけるジョビー・アビエーション(Joby Aviation)のシリーズC(5億9000万ドル)、植物肉のインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)によるシリーズF(5億ドル)などが続いた。
もっとも、1~3月の調達額上位5件のうち、3月に実施されたのはインポッシブル・フーズのシリーズFとバイオテックのライエル・イミュノファーマ(Lyell Immunopharma)によるシリーズC(4億9300万ドル)の2件だった。4~6月期の資金調達活動が新型コロナの影響で低迷する可能性があることを示している。