ブラザー・携帯スキャナー 両面同時、サイズも幅広く
今回の目利き 森谷健一氏
ブラザーが発売したドキュメントスキャナー「MDS-940DW」を紹介する。リチウムイオン電池を内蔵し、持ち運び可能で外出先でも使える。後発なりの工夫が各所に見られる。


スキャン性能で注目すべきはまず両面同時スキャンに対応していることだ。類似の製品には片面スキャンのみ可能なものも多いが、本製品では表裏を1回のスキャンで読み取れる。排紙トレーを引き起こすことで、原稿が前面から給紙されて前面に排紙されるUターンスキャンで省スペースを実現した。
速度は300dpiでの読み取り時、原稿を引き込み始めてから排紙完了まで1枚約4秒。同種の製品よりやや速めだ。スキャン可能な原稿はレシートなど幅5センチからA4までの普通紙に加え、キャッシュカードなどにも対応する。原稿を2つ折りにしてスキャンし、自動的に表裏を結合することで、B4やA3サイズの原稿も読み取れる。

スキャンしたデータの保存先はUSBケーブルで接続したパソコン、Wi-Fi経由でつながったスマホやパソコン、本体内蔵スロットに差し込んだマイクロSDカードから選択できる。本体上面の発光ダイオード(LED)モニターに接続状況やエラー内容が表示される。
スキャンは本体ボタン、パソコンやスマホのアプリから開始する。本体重量は約700グラム。同種の製品より重めだ。
ドキュメントスキャナーでは、原稿が差し込まれたことを検知するのに、光学センサーを使うことが多いが、本製品では給紙口の左端から約3センチの場所に検出用の突起が用意されている。原稿がその突起を押し込むことで検知される仕組みだ。このため、中央や右端に原稿を差し込んでもスキャンできない。レシートなど小さい原稿を複数読み込みたい場合、前の原稿のスキャンが完了するのを待って次の原稿を差し込む必要があるのが若干面倒だ。
実勢価格は大手家電量販店で2万3千円前後。両面同時スキャンやLEDモニター搭載、マイクロSDカード対応といった特徴がアピールできれば、店頭でも利用者の目を引くだろう。
(テクニカルライター)
[日経産業新聞2020年4月30日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。
関連企業・業界