トランプ氏「消毒液発言」で責任回避 混乱相次ぎ不信招く
【ワシントン=永沢毅】トランプ米大統領は27日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染者への治療法として「消毒液の注射」に言及した自らの発言で混乱を招いたことについて「責任はない」との認識を示した。全米各地で問い合わせが続出し、被害の報告も出たことに対する責任を回避した。
発端は23日の会見だ。国土安全保障省の幹部が「日光に含まれる紫外線や漂白剤、消毒薬がウイルスの撃退に効果がある」旨を説明した。消毒薬の体内摂取を想定した発言ではなかったが、トランプ氏は「消毒液を注射をしてみてはどうか。確かめるのは興味深い」などと不用意に述べた。
この発言に医師や専門家からは消毒液の摂取は危険だとして批判が相次いだ。トランプ氏は24日、記者団に「あなたのような記者に皮肉を込めて質問しただけだ」と開き直った。27日の会見でも各地で問い合わせが増えたことについて「理由は想像がつかない」とかわした。
米メディアによると、東部メリーランド州や中西部ミシガン州などで消毒液を巡る発言に関する問い合わせが急増し、当局が対応に追われたという。実際に摂取したとみられる事案もあった。トランプ氏を擁護することが多い保守系のFOXニュースも批判的に報じた。
トランプ氏は25日のツイートで「時代遅れのマスコミは悪意ある質問ばかりで真実を伝えない。なんのために会見をするのか」などと主張した。ホワイトハウスは発言が飛び出したのが記者会見だったため、連日開いていた会見の開催の是非を協議した。週末である25、26両日は珍しく休止とし、27日はいったんは取りやめた会見を結局は開いた。政権の対応が二転三転するなかで、感染者と死者は増え続けている。