正恩氏の消息「遠くないうちに分かる」 トランプ氏
韓国は「重体説」否定

【ワシントン=永沢毅、ソウル=恩地洋介】トランプ米大統領は27日の記者会見で、健康不安説のある北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の消息について「そう遠くないうちに分かるだろう」と述べた。米政府として情報を把握していると強調しながら、具体的な言及は避けた。韓国では統一相と外相が国会答弁で「重体説」を否定した。
トランプ氏は金正恩氏に関して「どういう状態にあるかはちゃんと分かっている」と述べた。「彼が元気であるよう望んでいる」とも語った。23日の記者会見では、健康不安説が広まる発端となった米CNN報道に否定的な見解を示していた。
韓国政府は28日、金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一相が国会答弁で「北朝鮮に特異な動向はないと自信を持って言える。国民は安心していい」と発言した。金正恩氏が心臓血管手術を受けたとする北朝鮮専門ニュースサイトや、CNNの報道について「論理的に納得しがたいフェイクニュースだ」と打ち消したが、明確な根拠は示さなかった。
金正恩氏は故金日成主席の生誕日である15日の行事に姿を見せなかった。金統一相はこれに関し、新型コロナウイルスの防疫が影響したとの見方を示した。康京和(カン・ギョンファ)外相は金正恩氏の健康状態を巡り、日本と米国も韓国政府と同様の判断を下しているとしている。
中国に拠点を置く北朝鮮の政府系ニュースサイト「今日の朝鮮」は26日、中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」の公式アカウントで、金正恩氏に関する報道を「デマ」と反論した。「デマの大元は南朝鮮の地下の下水道に隠れる子ネズミたちだ。CNNがこれを利用して人々を惑わせた」などと投稿した。
北朝鮮の公式メディアは金正恩氏の動静についてなお沈黙を保っている。韓国に亡命し、先の韓国総選挙で当選した元北朝鮮駐英公使の太永浩(テ・ヨンホ)氏は28日、自身のフェイスブックで「金一家の動向は最高幹部も分からない極秘事項だ」と指摘した。同時に「長期間沈黙している北朝鮮の反応は異例で、様々な可能性を念頭に置くべきだ」とした。

金正恩(キム・ジョンウン)総書記のもと、ミサイル発射や核開発などをすすめる北朝鮮。日本・アメリカ・韓国との対立など北朝鮮問題に関する最新のニュースをお届けします。