新型コロナ、感染者監視に「法制化必要」イスラエル最高裁

2020/4/28 16:28
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【イスタンブール=木寺もも子】新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由とした市民へのデジタル監視に司法判断が示された。政府が携帯電話の通信情報などから感染者の行動を追跡しているイスラエルで26日、最高裁判所が個人情報保護の必要性などから、政府に立法措置を求めた。感染者の追跡技術は世界で検討されており、今後の議論に影響を与えそうだ。

イスラエルでは携帯電話を使った感染者の追跡が行われている=ロイター

最高裁は「治安維持の手法を無害の市民の同意なしに転用するという政府の決定は問題が大きい」として、プライバシーに配慮した法制化なしには行動監視の継続が認められないとの判断を示した。同国メディアが報じた。

イスラエルでは3月、治安機関が保健省などとともに新型コロナ対策に乗りだした。対テロの手法を転用して感染者の携帯電話の通信情報やクレジットカードの利用記録などから位置を追跡。過去2週間にその感染者と接触した可能性がある人に自主隔離を求めるメッセージを送る仕組みだ。

対テロの治安機関が感染対策のために一般市民の行動履歴にアクセスすることの是非は、イスラエルで大きな議論を呼んだ。国会でも慎重論が強かったが、ネタニヤフ首相は国会の承認なしの実施に踏み切った。これを受けて人権団体などが最高裁に中止を申し立てていた。

最高裁は報道の自由を守るためとして、記者が求めれば追跡対象から外されるべきだとの判断も示した。

感染拡大を防ぐため、アプリなどを使った感染者の追跡の技術開発は各国で進んでいる。韓国やロシアなどは全地球測位システム(GPS)を使った位置情報を利用している。シンガポールでは個人の携帯番号を特定して濃厚接触者に連絡を入れている。

感染者の追跡は一定の効果を果たすとみられる一方、プライバシーの保護が課題だ。欧州委員会は16日、GPSではなく携帯端末間で交わされる近距離無線通信「ブルートゥース」を利用すべきだなどと提言した。

米アップルとグーグルの親会社アルファベットは、ブルートゥースを利用したアプリを共同開発するとしている。

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