/

コロナ専門病院、遅れる整備 人材の配置転換難しく

国立国際医療研究センターの視察でECMOの説明を受ける加藤勝信厚労相(23日、東京都新宿区)

新型コロナウイルスを巡り、入院患者に限定して診療にあたる「重点医療機関」の整備が思うように進んでいない。治療体制の効率化につながるとして国が自治体に検討を求めているが、日本経済新聞の調査によると、「特定警戒都道府県」に指定された13都道府県で、正式に計画を策定済みなのは4府県にとどまる。専門家は「一段の感染拡大に備えるためにも重点化を急ぐべきだ」と指摘している。

政府が特定警戒都道府県として指定した13都道府県を対象に、病院や病棟を新型コロナの入院患者の専用施設とする重点医療機関の整備について、21日時点での状況を聞いた。

正式に計画を策定した4府県の中でも、特に整備が進んでいたのは神奈川県で、県立循環器呼吸器病センターなど6病院に、藤沢市内に建設予定の仮設病院を加えた7カ所の計480床を中等症向けの重点医療機関として指定した。

重症向けには川崎市立川崎病院など2施設の20床が準備されている。横浜市でも今後さらに中等症、重症合わせて500床の確保を目指す。

兵庫県も県立加古川医療センターを中等症向け、県立尼崎総合医療センターなど2施設を重症向けに指定。詳しい病床数は明らかにしていないが、重点化により3施設合計で100床増やすことができるという。

京都府は中等症、重症合わせて7施設で400床を確保する予定。大阪府では大阪市立十三市民病院を中等症専用とし、90床を準備する。

一方で北海道、東京都、岐阜県、石川県の4都道県は、患者の増加に合わせて一部の病院で専用病棟ができたケースはあるとしながらも「重点医療機関として指定しておらず非公表」と回答した。残る5県は21日時点では計画を策定中か未検討だった。

重点医療機関として、新型コロナウイルス専門の病院を整備すれば防護具の節約などのメリットも見込まれる。

1つの病院の内部にウイルスの汚染区域と非汚染区域が混在している場合、行き来する度にマスクやガウンなどの防護具を脱ぎ着する必要がある。使い捨てを原則とする防護具の枯渇が一層進む懸念があるという。

人材不足対策にも効果があるという。政府は人工呼吸器、重篤患者向けの「体外式膜型人工肺(ECMO)」をそれぞれ1万5千台、800台確保しているが、設定などには経験が必要だ。重点機関に器材と人材を集約すれば、より効率的な治療が可能になる。

自治体で計画策定が遅れている背景には、複数の医療機関にまたがって人材を動かす調整の難しさなどがあると指摘される。大規模な重点化は複数の医療機関から人材を集める必要があるが「報酬や服務規定が違う医療機関の間で人員を融通するのは難しい」と埼玉県の担当者は語る。

医療機関の経営陣にとっても難しい判断となる。感染者を受け入れた病院では患者が減少することがあるほか、医療関係者の子供が保育園で預かりを拒否される事例も報告されている。

日本呼吸療法医学会などが立ち上げた「ECMOnet」の竹田晋浩代表は「重点化が進まなければ、感染爆発には対応しきれない」と強調する。「都道府県がリーダーシップを発揮するのが難しい場合は、国が大学病院や公立の大病院に直接指示を出してでも重点化の道筋をつける必要がある」としている。

新型肺炎

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

新型コロナ

新型コロナウイルスの関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。

ワクチン・治療薬 休業・補償 ビジネス 国内 海外 感染状況

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

新着

注目

ビジネス

暮らし

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン