中部景気「極めて厳しい」 76年以降で「最悪」と判断

2020/4/27 14:20
保存
共有
印刷
その他

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、中部の景気が急速に悪化している。東海財務局が27日発表した愛知、岐阜、三重、静岡県の経済情勢で4月の総括判断を「拡大の動きに一服感がみられる」から「極めて厳しい状況にある」に下方修正した。消費と生産の大幅悪化を反映し、記録の残る1976年以降としては景気が最も悪いことを示す表現を使った。

通勤の時間帯も人通りが少ない名古屋駅前(20日、名古屋市中村区)

通勤の時間帯も人通りが少ない名古屋駅前(20日、名古屋市中村区)

2008年のリーマン・ショックや11年の東日本大震災の直後に総括判断を「厳しい」としたことはあったが、「極めて厳しい」としたのは76年以降で初めて。過去の危機では消費や生産が落ち込むまで多少の時間がかかったが、今回は緊急事態宣言を受けての一斉休業や世界規模での減産など「落ち込みが段違いに速い」(藤本拓資財務局長)のが特徴という。

個人消費は百貨店や自動車販売店、旅行会社などが苦境に立たされているとし、ドラッグストアや食品スーパーなど客足を伸ばしている業種もあるが、全体では「急速に減少している」とした。前回の1月時点では個人消費を「回復している」と判断していた。

東海財務局の聞き取りでは「繁華街や通勤・通学の利用者が多い店舗は大きく売り上げを落としている」(コンビニエンスストア)、「国内外で予約が相次ぎキャンセルになった」(旅行会社)といった声があった。

主産業の自動車の減産影響が部品メーカーや鉄鋼、電気機械などに波及している。中部の自動車関連の中小企業は「リーマン危機時は半年間かけて受注が減ったが、今回は4月の1カ月間でほとんど受注がなくなった」という。

製造業などの人手不足を背景に中部の有効求人倍率は全国を上回る水準で推移してきたが、足元で悪化が目立っている。中部の労働局には大手自動車関連企業から「2月以降の求人をすべて取りやめる」という連絡があったという。

「正規、非正規ともに新規採用を減らすが、人員整理はしない」(窯業・土木)といった声もあるが、業績悪化が続けば雇用への影響は避けられない。

設備投資の判断は「増加見込み」で据え置いたが、「新型コロナの影響で投資計画は下振れするリスクがある」(藤本財務局長)とした。

■愛知の実質県内生産15%減


 中部圏社会経済研究所(名古屋市)が新型コロナウイルスの感染拡大による経済影響を試算したところ、2020年の世界の経済成長率をマイナス3%とする標準シナリオの場合、愛知県の実質県内総生産は5兆7431億円減る。これは20年3月期の県内総生産の推計値の15%にあたり、リーマン危機後の落ち込みより大きくなる可能性があるという。
 標準シナリオは緊急事態宣言が期限の5月6日で終わることや、4~9月の訪日客数が前年同期比9割減ることを前提とした。岐阜県の県内総生産は20年3月期の推計値の9%にあたる6989億円、三重県は同8%の6633億円、静岡県は同11%の1兆8298億円減少する。
 愛知県の下落率が大きいのはグローバル企業が集積し、「海外経済の減速の影響を受けやすいため」(中部圏社経研)という。緊急事態宣言が6月まで延期され、訪日客数の9割減が21年3月まで続くリスクシナリオでは、愛知県の県内総生産の減少は8兆7457億円と、標準シナリオから5割増える。

(湯浅兼輔)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]