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iDeCoとつみたてNISA 併用で老後資金づくりも加速

積み立て投資で老後資金づくり(2)

PIXTA=写真はイメージ
相場変動を受け、初心者を中心に投資信託の積み立て始める人が増えている。投信を積み立てる時には「iDeCo」と「つみたてNISA」という2種類の税制優遇制度が使える。この制度を使った投信の積み立て投資の基本を(1)2つの優遇制度の特徴 (2)上手な制度の活用方法 (3)商品の選び方──の3回に分けて紹介する。

老後資金づくりの強い味方iDeCo

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは個人年金制度の一つだ。金融機関を選んで口座を開設し、毎月一定額を積み立て(掛け金の拠出とも言う)、あらかじめ用意されている投資信託や定期預貯金、保険といった金融商品で運用し、60歳以降に分割(年金)、または一括(一時金)で受け取るという枠組みだ。一部の金融機関では一時金と年金の併用も可能だ。

iDeCoの最大の特徴は税の優遇が受けられること。下の勘所1のように、(1)積立資金の所得控除(2)運用中の運用益に対する所得税の免除(3)受取時に退職所得控除や公的年金等控除の適用……という3つの税のお得が用意されている。例えば年収500万円の人が月1.2万円を30年間積み立てる場合、(1)と(2)で約100万円の税金を節約できる。

なお、資産受取時には税金がかかる。つまり、自分が出した元本にも税金がかかるわけだ。ただし、退職所得控除や公的年金等控除の枠内なら非課税。受取時の所得にもよるが、超過しても拠出時の非課税分を相殺することはまれだ。

お得な制度ゆえに制限もある。まず、投資額に上限があること。上限額は勤務先や働き方によって異なる(勘所2)。投資できる商品も金融機関ごとに絞り込まれており、何にでも投資できるわけではない。品ぞろえの多い金融機関でも最大35本だ(勘所3)。

法改正でアラフィフにも福音

年金をつくる制度なので、積み立てや運用ができる年齢にも制限がある。現在、積み立ては60歳になるまで、運用は70歳になるまでと定められているが、法改正によりそれぞれ5年延長される予定だ。

最大の制限は資産の引き出し年齢。年金制度故に口座のお金は原則、60歳までは引き出せない。

【iDeCoの勘所1】3つの税優遇

iDeCoでの積み立て投資には3つの税の優遇が用意されている。(1)給与から出す掛け金(投資元本)は所得控除の対象となり、(2)運用益は非課税となり、(3)貯めたお金を受け取る時には資産全体が課税対象になるが、一定額までは非課税になる。

(1)掛け金を払う時(投資する時)
 掛け金の全額が所得控除の対象となり、所得税・住民税が税率に応じて減少する(企業型DC=確定拠出年金=の場合は、会社が払う掛け金を給与と見なさず非課税に)
(2)運用している間
 投信の売却益や分配金、預貯金の利息など、運用中に得た利益は全て非課税。途中で分配金をもらったり投信を一旦売ったりしても、複利効果を保ちやすい
(3)資産を受け取る時
 たまった資産を一時金で受け取れば「退職所得控除」が、年金方式なら「公的年金等控除」が適用され、所得税などが安くなる(非課税になる場合も)

【iDeCoの勘所2】働き方で投資上限額が異なる

職業、働き方などで1年間に積み立てられる(拠出)額が異なる。上限以下なら、月払いを減らしてボーナス時に増額するなどの調整も可能。

【iDeCoの勘所3】証券会社で商品が異なる

証券会社ごとに買える商品が異なり、最大35本。運用期間中は乗り換え可能で、その際の売却益は非課税。

【iDeCoの勘所4】積立期間は65歳まで延長予定

60歳になるまで掛け金の拠出(積み立て)が可能。貯まった資産は、60歳になってから70歳になるまでの間に一時金、または年金で受け取る。この間も運用は継続可能。なお、現在、国会で審議されている改正法案が通れば、60歳以降も厚生年金加入で働くなど一定の条件を満たす人は65歳になるまで拠出可能になり、給付開始時期の上限も5年延長される予定。

注意点は

原則、60歳になるまで積み立てたお金を引き出せない。受取時には投資元本も含めた資産全体が所得税等の課税対象になる点も覚えておきたい。退職金や企業年金など、60歳以降の他の所得が多いと、控除枠からあふれた分が課税される可能性もある。

いつでも引き出せ、資金使途が自由なつみたてNISA

現役時代に使うお金作りにも活用できるのが「つみたてNISA」。もちろん老後資金づくりにも使えるが、メリットは運用益非課税のみで、iDeCoに比べるとお得感は小さく、非課税で運用できる期間も最長20年と短い(下の勘所3)。その代わり、いつでもお金を引き出すことができ、投資できる上限も年40万円と大きい。

つみたてNISAも証券会社などに専用口座を開設して運用する。投資できるのは金融庁の定める要件を満たした長期投資向きの投信。各証券会社が、対象となる商品群の中からピックアップしている。

【つみたてNISAの勘所1】運用益が非課税

例えば今年、総額40万円(2回以上に分けて買うこと)で買い付けた投資信託が20年後に60万円に値上がりして、その間、累計24万円の分配金が出たとする。課税口座だと約8.8万円の税金がかかるが、つみたてNISAだと非課税に。

【つみたてNISAの勘所2】投資対象は基準を満たす投信

販売手数料無料、信託報酬が一定基準以下、毎月分配ではないなど、長期・積み立て・分散投資に適した投信・ETFで、金融庁に届け出られている商品から各証券会社が商品を選んでいる。

【つみたてNISAの勘所3】投資できる期間と金額

年最大40万円分の投信・ETFを20年間、計800万円まで非課税で保有可能。購入できるのは制度終了の2037年(法改正で42年に変更予定)までで、37年(同42年)購入分は20年後の56年(同61年)まで非課税で保有できる。非課税期間終了後は課税口座へ移され、移された時点の基準価額が新たな取得価格になる。

注意点は

運用益が非課税という利点と、損益通算ができないという欠点のどちらを取るかが悩みどころ。20年後に損益が強制的に確定される点も要注意。元本割れで課税口座に移されると非課税のメリットはなし。また、その時点の基準価額が取得価格になるため、その後、値上がりすると儲かってないのに課税されることも。

併用は、iDeCoをベースにつみたてNISAを上乗せ

iDeCoもつみたてNISAも、インデックス型投信などを積み立てる際に税制優遇という便宜を図る制度だ。ただ、両制度を比べると(1)優遇内容 (2)前提となる投資期間 (3)投資商品の種類 (4)投資上限額──などの違いがある。

税のお得度ではiDeCoの方が上だが、iDeCo口座に入れた資金は、原則、60歳になるまで引き出せない。売却して他の投信に乗り換えたり、元本確保の預貯金で持ち続けたりはできるが換金できるのは60歳以降だ。

一方、つみたてNISA口座で買い付けた投信はいつでも売却でき、代金も口座から引き出せる。ただ、一旦売ってしまうと、非課税の運用期間が残っていても優遇はそこで終了。非課税枠を使い回して別な投信を買うことはできない。

上限額の差も大きい。勤務先に確定給付企業年金等がある会社員や公務員だと、iDeCoで年間14.4万円までしか積み立てられない。これに対して、つみたてNISAなら誰でも年間40万円まで積み立てることができる。

このように両制度は建て付けがかなり異なり、資金の使い道や積み立てられる期間、働き方などによって、どちらを使った方がよいのかは変わってくる。両制度の特徴を理解して、上手に使い分けるのが理想的だ。

順序としては、まず、毎月貯蓄できる金額から、投資に回せる金額を見積もる。その投資元本から老後への備えはiDeCoへ、10年程度、運用できる分はつみたてNISAへ振り分けて、それぞれの使途に向いた投信を選んで積み立てる。これが基本。

いくら投資するかを考える時、当面の生活資金が別途、確保できているかどうかも要注意。十分な貯蓄もないのにリスク商品を買うのは勧められない。

また、これらの制度を使うことや、制度の投資上限額にこだわり過ぎることも禁物だ。iDeCoの上限が月1.2万円の会社員が毎月1.2万円積み立てれば、それだけで老後が安泰とは限らない。余裕があるなら一般の課税口座を使って積み立ててもいい。

マネープランが固まっていないなら、引き出し制限がなく、投資対象も厳選されているつみたてNISAから始めるのも手だ。調整は後からいくらでもできる。

[日経マネー2020年6月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年6月号 乱気流相場で好機をつかむ日本株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

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