初心者はここから 税優遇があるiDeCoとつみたてNISA
積み立て投資で老後資金づくり(1)

日経マネー特集
2020/5/8 2:00
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相場変動を受け、初心者を中心に投資信託の積み立て始める人が増えている。投信を積み立てる時には「iDeCo」と「つみたてNISA」という2種類の税制優遇制度が使える。この制度を使った投信の積み立て投資の基本を(1)2つの優遇制度の特徴 (2)上手な制度の活用方法 (3)商品の選び方──の3回に分けて紹介する。

投信の積み立て投資は、毎月、一定額の投信を淡々と買っていく投資法。有望株を探す必要も投資タイミングで悩む必要もない。代金は証券口座からの引き落としで支払えるので手間もかからない。にもかかわらず長期的には預貯金を上回る運用成果を期待できる。

■手間をかけずに経済成長の果実を享受できる

もう少し詳しく見ていこう。積み立てに使われるのは、主に市場全体の動向と同じ値動きをするように運用されているインデックス型と呼ばれる投信だ。例えば日経平均という指数に連動するインデックス型投信なら、日経平均株価と同じように価格が上下する。もし、日経平均採用企業が経済成長に伴っておのおの成長すれば、各社の株価も上がり、指数も上昇が期待できる。つまり、インデックス型投信を買って持っていれば、日本経済の中長期的な成長の恩恵にあずかれるというわけだ。

ただし景気にも株価にも波がある。誰も見向きもしない時期もあれば、割高な水準まで買われている時期もある。割高・割安をその最中で判断するのは難しいし、高い時は買いにくいし、ショックで値下がりしている時も買いにくい。

そこで威力を発揮するのが積み立て投資。短期的な市場動向に惑わされることなく、定期的に買い続けることで、長い目で見るとそこそこの価格で買うことができる。

その成果を過去の例で検証してみよう。下のグラフは「ステート・ストリート外国株式インデックス・オープン」を20年間、積み立てた時の資産推移だ。この商品は日本を除く先進国22カ国に上場する大・中型株で構成した「MSCIコクサイ」という指数に連動を目指すインデックス型投信。グラフのように、リーマン、コロナという2度のショックを経た3月末時点でも投資元本は6割増えている。

毎月5万6000円(つみたてNISAで月3.3万円、iDeCoで月2.3万円と仮定)を、ステート・ストリート外国株式インデックス・オープン(MSCIコクサイ指数)に20年間投資した場合の資産推移。手数料、税金は考慮せず。投資信託協会のウェブサイトで試算。

毎月5万6000円(つみたてNISAで月3.3万円、iDeCoで月2.3万円と仮定)を、ステート・ストリート外国株式インデックス・オープン(MSCIコクサイ指数)に20年間投資した場合の資産推移。手数料、税金は考慮せず。投資信託協会のウェブサイトで試算。

■国も税制優遇で積み立てを後押し

積み立て投資には強力な援軍もいる。「iDeCo(個人型確定拠出年金)」と「つみたてNISA」という税金の優遇制度だ(下表)。通常、投信の運用益には20.315%の税金がかかる。ところが、iDeCoやつみたてNISAの専用口座を開設し、その口座内で一定条件を満たす投信を積み立てた場合、運用益が非課税になるなどのメリットがあるのだ。運用益が200万円なら約40万円が手元に残る。これは大きい。

さらに朗報もある。iDeCoは本来、自分年金をつくるための制度で、60歳になるまでしか積み立てはできなかった。ところが今後の法改正で65歳になるまで積み立てられるようになる見通しだ。つみたてNISAは期限付きの制度だが、この期限が当初の2037年から5年延長になる見通し。

積み立て投資は、短期の景気動向に左右されないためにも10年以上の積立期間が欲しいもの。50歳を過ぎると残りの積立時間が気になったが、制度改定により、ある程度、積み立て投資の時間を確保できるようになりそうなのだ。

これから投資を始める人も、個別株中心で積み立て投資はしてこなかったベテランも、積み立て投資を始めてみてはいかがだろう。

*1=投資できる元本には上限あり。iDeCoの年間投資上限額は働き方などによって変わる。つみたてNISAは年間40万円 *2=積み立期間にも上限がある。iDeCoは60歳になるまでだが、法改正を経て60歳以降も厚生年金に入って働き続けるような場合は65歳に引き上げられる予定。つみたてNISAは法改正を経て2037年から42年へ5年延長される見込み *3=iDeCoは金融機関ごとのラインアップから、つみたてNISAは金融庁が示す一定の条件をクリアした投資信託の中から選ぶ *4=税金のお得度はiDeCoが上。両制度とも運用益非課税。加えてiDeCoは、投資する元本が所得控除になり、受け取る時には退職所得控除などが使える *5=iDeCoの資産は原則60歳まで引き出し不可。つみたてNISAはいつでも現金化できる

■定年直前でショックに襲われたら? iDeCoの出口戦略も重要

iDeCoで積み立てた資産は60~70歳(法改正で上限は75歳まで延長の予定、以下同)の任意のタイミングで受け取り始めることが出来る。受け取り方は「年金」「一時金」から選択でき、金融機関によっては両者の併用も可能だ。

ただし、50歳以上で積み立てを始めた人は60歳からは受け取れない場合がある。60歳からの受け取りにはiDeCo加入期間が10年以上必要で、10年未満だと受給可能年齢が繰り下げられるため。つまり51歳で加入した人の受け取り開始時期は61~70歳(75歳)の間だ。

年金で受け取る場合は5年以上20年以下の有期年金となる。月1回か、2カ月に1回なのかなどの受け取り方法は金融機関ごとに異なる。なお、受け取りごとに手数料もかかる。

60歳(改正後は65歳)以降、iDeCoで積み立てはできなくなるが、積み立てた資産は投資信託のままにしておき、70歳(75歳)まで運用を続けて増やすことも狙える。

ただ、受け取る直前まで株式投信にしておいて、今回のコロナ・ショックのような株式相場の暴落に見舞われると、老後資金が大きく減ってしまう恐れがある。

60歳が見えてきたら、出口戦略も考えておきたい。55歳以降、徐々に株式投信は売却して、低リスクのバランス型投信や、定期預貯金に資産を変えていく。

残念ながら暴落に見舞われてしまったら、受取開始時期を後ろに延ばし、投信で運用を続けて、回復を待つことを考えたい。受け取り開始は70歳(75歳)まで伸ばせるので、60歳直前でも10年以上の運用期間が確保できる。その後の運用成果次第でリカバリーできる可能性は十分ある。

[日経マネー2020年6月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年6月号 乱気流相場で好機をつかむ日本株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

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