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塩野義製薬、中国平安保険と数億人データ駆使

NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

塩野義製薬が中国保険最大手の中国平安保険集団と資本業務提携し、健康関連のビッグデータを生かした創薬やサービス開発に乗り出す。中国平安は数億人の契約者から治療や健康状態に関するデータを集めており、日本では難しい規模の情報量が活用できる。塩野義は中国平安の出資も受けて、アジア市場の開拓に弾みをつける考えだ。

資本提携では、塩野義が自己株式の約636万株を中国平安の投資子会社に335億円で譲渡する。中国平安の出資比率は2%になる。7月末までに正式契約を結ぶ予定だ。日本の製薬大手に中国企業が出資するケースは珍しい。

塩野義は数億人いる中国平安の契約者の健康情報を活用して、医薬品や医療サービスの効率的な研究開発を目指す。塩野義と中国平安は合弁会社を立ち上げ、ビッグデータや人工知能(AI)を活用した創薬などに取り組む。

まず、塩野義が得意とする感染症や中枢神経系の病気の治療薬が対象となる。塩野義は中国を含むアジア全域での開発・販売権を得る計画だ。手代木功社長は「医薬品だけでなくヘルスケア全般を対象として、両社で長い時間をかけて取り組んでいく」と多分野の提携効果に期待を込める。

中国平安は保険や銀行、ヘルスケアサービス関連の事業を幅広く展開しており、2019年12月期の純利益は1494億元(約2兆3000億円)だった。保険契約者の検査・治療データ、医療相談アプリを通じた利用者の健康状態といった膨大な医療関連情報を持っている。

中国では「個人の健康や病気などのデータを活用しやすい」(塩野義)という。塩野義は中国平安と組むことで、従来よりも短期間で創薬や新規事業の開発ができると判断した。中国平安は合弁会社を通じて医薬品事業への参入を狙う。

中国の製薬産業は日本や欧米と比べ、新薬の研究開発力に劣る。中国政府は新薬の審査承認プロセスや品質管理基準を厳しくするなどして信頼性の低い企業を退場させる半面、外資企業が創薬に取り組みやすい環境を整備して製薬産業の育成に力を入れている。

医療情報サービスの米IQVIAによると、23年の中国の医薬品市場が最大1700億ドル(約19兆円)と、18年比24%伸びると予測される。

14億人もの人口を抱える中国では、医薬品の安全性などを確かめる臨床試験(治験)に必要な患者も集めやすい。以前は特許の切れた後発薬の市場や医薬品原料の生産拠点とみられがちだったが、仏サノフィなど世界のメガファーマが新薬の研究開発体制を整え始めている。

「日本は薬価が毎年改定されるなど事業環境が厳しい。(アジアの研究拠点は)中国に軸足が移るだろう」(製薬大手幹部)との見方も出ている。

(大阪経済部 宮住達朗)

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