トランプ氏「消毒液を注射」 発言が波紋、医師ら「危険」

【メキシコシティ=宮本英威】トランプ米大統領が新型コロナウイルスの治療法を巡り、消毒液の注射に言及したことが波紋を呼んでいる。専門の医師は危険な行為と指摘し、試さないように呼びかけている。
国土安全保障省の高官は23日、ウイルスが高温・高湿度や消毒剤で威力が弱まる傾向を明らかにした。これを受けトランプ氏は「消毒液のようなものを体内に注射できないだろうか?クリーニングのように」と述べた。
医師や専門家からは疑問の声が相次いだ。米NBCは、呼吸器科医ビン・グプタ氏の「どんな種類の洗浄剤でも、注射や摂取は無責任で危険だ。自殺したい時の手法だ」とのコメントを伝えた。カリフォルニア大サンフランシスコ校のジョン・バルメス教授(呼吸器科医)は米ブルームバーグに「塩素系漂白剤を吸い込むのは、肺にとって最悪だ」と述べた。
野党・民主党の大統領候補指名が確実のバイデン前副大統領はツイッターへの投稿でトランプ氏に疑問を呈した。「消毒液の注射?」と書き込み、それよりも多くの検査や医療関係者向けの防護服を求めた。
ホワイトハウスは「大統領は新型コロナの治療では医師に相談するように繰り返し述べている」との声明を出し、トランプ氏のコメントが文脈を離れて切り取られているとした。
米疾病対策センター(CDC)は20日、洗浄剤と消毒液の使用法を気をつけるように消費者に求めた。20年1~3月に中毒センターへの通報が前年同期に比べ約2割増えているという。