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米、コロナ対策3兆ドル迫る 財政赤字も「戦時」並みに

(更新)
飲食店などの零細企業も政府資金を得やすくする(22日、休業しているアトランタのレストラン)=ロイター

【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領は24日、米議会が可決した新型コロナウイルスに対処する4800億ドル(約52兆円)の追加対策に署名した。財政出動は過去最大の3兆ドル弱となるが、企業への資金供給にはフィンテックも活用。量と質の両面で安全網を強める。ただ、失業率の悪化は止まらず、トランプ大統領はさらなる追加策も検討する。財政赤字は第2次大戦時並みに膨らんでいる。

新型コロナ対策はワクチン開発などに83億ドルを充てた第1弾に始まり、今回で合計2兆9000億ドル規模となった。金融危機だった2008~09年は、2回で合計1兆5000億ドル弱の対策を打ったが、今回は早くもその2倍だ。国内総生産(GDP)比で14%となり、通常の年間歳出(4.4兆ドル)の6割という巨額の臨時支出となる。

今回の追加対策の柱は全雇用の5割弱を占める中小企業(対象は従業員500人以下)の就労対策だ。給与の支払いを肩代わりする特別資金を、これまでの1.9倍の6600億ドルに増額。ムニューシン財務長官は「これで6000万人分の雇用が維持できる」と強調する。

その資金供給には、小口金融に強いフィンテック企業も駆り出す。同制度は民間金融機関が窓口となるが、米財務省はウェルズ・ファーゴなど大手銀だけでなく、電子決済大手のペイパル・ホールディングスやスクエアなども追加で仲介役に選定。飲食店など大手銀行にチャネルを持たない零細企業も政府資金を得やすくする。

実際、23日発表の失業保険申請件数は週400万件と、資金を供給しても雇用悪化に歯止めがかかっていない。3月の雇用統計は就業者数が70万人も減ったが、営業を大幅に縮小した宿泊・飲食業が45万人と圧倒的に多数を占める。

逆に中小支援の資金の行き先は、多くが休業の対象外の建設業や製造業だった。連邦政府が2週間で供給した3400億ドルのうち、宿泊・飲食業は全体のわずか9%。ペイパルなど新しい金融サービスもフル活用することで、質と量の両面で安全網を強める。

新型コロナの感染拡大に歯止めがかからなければ、飲食・宿泊などサービス業の事業停止が長引きかねない。経済対策には医療・検査体制の整備にも1000億ドルという多額の追加資金を投じ、トランプ氏が目指す経済活動の早期再開に道筋をつける。

米政権の経済対策はこれで終わりではない。トランプ大統領は「(基幹税の一つである)給与税の減税など、さらなる追加対策の協議に入る」と表明。ムニューシン氏も雇用の受け皿となるインフラ投資などを検討すると指摘した。

トランプ米大統領は米議会が可決した新型コロナウイルスに対処する追加対策に署名した(24日、ホワイトハウス)=AP

米経済の悪化が鮮明になるのは、むしろこれからだ。4~6月期のGDPは年率30%前後という戦後最大のマイナス成長になると見込まれる。人員削減も大手企業に波及し、米レンタカー大手のハーツ・グローバルは20日、北米で1万人の一時解雇を表明。高級百貨店のニーマン・マーカスも破産手続きの検討に入った報道される。

インフラ投資などの追加策はさらに1兆ドル規模になる可能性もあり、財政支出の合計は3兆ドルを大きく超える可能性がある。そもそも中小企業の資金支援は6月末までの時限措置で、期限を延長すれば歳出はさらに膨らむ。

懸念材料は未曽有の規模になる財政赤字だ。超党派の調査機関「責任ある連邦政府予算委員会」は20年度の財政赤字を3.8兆ドルと試算してきたた。さらに4800億ドル超の歳出増が決まり、赤字額は前年度比4倍の4兆ドルに達する可能性がある。GDP比で25%前後となり、水準は財政赤字のピークだった第2次世界大戦中と並ぶ。トランプ氏は「今は見えない敵を相手にした戦時だ」と強調するが、財政も「戦時」となってきた。

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