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NECのAI創薬、コロナワクチン開発に早くも名乗り

NECのエピトープ(アミノ酸配列)選別技術を活用して開発されるワクチンには、幾つかのタンパク質に由来する複数のエピトープが含まれているイメージだ(出所:NEC)
日経バイオテク

NECは23日、新型コロナウイルスのワクチン開発に向け、独自の人工知能(AI)を活用し、ワクチンのターゲットとして適したエピトープ(アミノ酸配列)を複数選別する技術を開発した。NECオンコイミュニティ(2019年7月にNECが買収)とNEC欧州研究所の研究チームによるもの。

NECとNECオンコイミュニティのAIによる予測技術を活用し、ワクチンの設計を行った。具体的には、公開されている新型コロナウイルスの数千種類のゲノムデータを参照。新型コロナウイルスのタンパク質(遺伝子)のアミノ酸配列の中から、細胞表面にある糖タンパク質である主要組織適合性遺伝子複合体と結合しやすいか、細胞表面で認識できるようになるか、免疫細胞の一つであるキラーT細胞の活性を高めやすいかなどを指標とし、AIで免疫活性能が高いと思われるエピトープの部位を同定した。

その上で、変異が生じやすい領域にあるエピトープや、正常細胞に類似した配列があるエピトープを除外。さらに、残ったエピトープの中から、ヒトにおいて頻度の高い100種のHLA型(白血球の型)をカバーできるエピトープの組み合わせをAIで計算した。その結果、「スパイクタンパク質など、数個のタンパク質(遺伝子)にある、4つ、5つ程度の領域がエピトープとして有用なのではないかとの結果を得た」(AI創薬事業部の北村哲事業部長)

AIによる予測技術は、NECが開発を進めている個別化がんワクチンの設計に用いられているもの。上記のような流れで選別した複数のエピトープを含むワクチンを接種することで、主にキラーT細胞を活性化し、ウイルス感染細胞への攻撃を促そうというわけだ。「また、ウイルス変異に強く、免疫系の副作用を抑える特徴も持たせられると考えている」(AI創薬事業部の山形尚子シニアマネージャー)。エピトープの選別に当たっては、「極力、(免疫細胞の一種の)B細胞による抗体産生にも有用なものを選ぼうとしている」(北村事業部長)という。

NECは今後、ワクチンの研究開発を手掛ける製薬企業と協業し、新型コロナウイルスワクチンの抗原(攻撃の標的)の選定に、今回のAIによる予測技術を活用したい考え。「新型コロナウイルスに対しては、mRNAベースやウイルスベクター、プラスミドDNAを用いたものなど、多様なモダリティ(手段)のワクチンが開発されているが、我々の技術はそうした幾つものモダリティに適用可能だ。実際に協業するとなれば、協業先のモダリティや投与方法に適したものに設計し直し、最新のゲノムデータをベースとして、改めてエピトープを選別することになるだろう」と北村事業部長は話していた。

(日経バイオテク 久保田文)

[日経バイオテクオンライン 2020年4月24日掲載]

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