「駆邪逐疫」の中国史 膨大な動員、犠牲覚悟の「戦争」
疫病の文明論(7) 加藤徹(中国文学者)
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「疫(えき)は役(えき)なり」。古代中国人にとって、疫病は、天が人民に均等に割り当てる苦役であり、戦役だった。
中国最古の字書『説文解字(せつもんかいじ)』に「疫、民皆疾也」とある。疫病とは、天下の人民がみな猛スピードで病気にかかること。中国数千年の歴史は、疫病に対する戦役の繰り返しだった。
「疾」の字源は、病気が矢のような速さで進行すること。「病」は、患者の手足がこわばり横にピンと張り出す(丙...
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