面会制限、不安募る家族 「ガラス越し電話」の試みも
病院・施設、感染リスクで試行錯誤

2020/4/24 11:06
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新型コロナウイルスの感染拡大を受け、病院や介護施設での面会制限が続いている。約2カ月にわたり原則禁じている施設もある。不安を募らせる家族の心情に配慮し、ビデオ通話などの代替手段を導入する動きが広がりつつあるが、共用のタブレット端末を介した院内感染などのリスクはゼロではない。施設側もジレンマを抱えている。

老人ホームで、建物の外にいる家族とガラス越しに面会する女性(10日、東京都文京区)

「どうやって過ごしているのか」。福岡県に住む女性(52)が心細げに話す。脳に障害がある夫の入院する病院は、2月下旬から面会が原則できなくなった。以前は1日おきに見舞っていたが、今は週2回、着替えなどを看護師に届けるだけだ。

全身まひの夫は呼吸や栄養摂取を医療器具に頼り、自分では電話できない。面会しなければ様子も知れず、女性は「今は我慢の時期と分かっているけど、やるせない」と肩を落とす。

厚生労働省は東京都内の介護老人保健施設での職員の感染事例を受け、特別養護老人ホームといった入所型の介護施設などでの面会について「やむを得ない場合を除き、制限することが望ましい」と2月下旬に都道府県などへ通知した。感染経路を遮断するためだ。

その後、4月に緊急事態宣言が発令、全国に拡大され、政府は医療機関や高齢者施設での面会について「緊急の場合を除き一時中止すべき」(16日改定の基本的対処方針)としている。

そうした中で施設側も、家族の不安に配慮し制限を続けながらも工夫を凝らしている。

約90人の入所者への面会を原則認めていない特養「恩方ホーム」(東京都八王子市)は近く、パソコンやタブレットを使って家族がいる自宅と入所者の部屋をつなぐビデオ通話を始める。北海道清水町の清水赤十字病院もビデオ通話を導入済みだ。3月上旬からすでに100回以上の利用があったという。

東京都文京区の介護付き有料老人ホーム「杜の癒しハウス文京関口」では、施設外から「ガラス越し」で家族に面会してもらっている。感染防止のため入所はできないが、電話をつないでガラスの向こうの顔を見ながらの会話が可能だ。職員らは立ち会わず、家族だけのひとときをつくる。柳沼亮一施設長は「ガラス越しでも、家族と顔を合わせることが入所者の心の支えになる」と話す。

一方で、感染リスクを極力減らすため、代替措置の導入にも慎重な施設はある。

埼玉県内で50床以上の病床を持つ産婦人科病院では13日から、出産時の立ち会いを含めて面会を禁止した。それまでは面会者を妊婦の夫に限定し、30分間の時間制限を設けていたが、同県が7日に緊急事態宣言の対象となったため制限を強めた。

この病院でもオンライン面会の採用を検討したが、見送った。大分県の病院で発生したクラスター(感染者集団)で、職員共用のタブレット端末を介して感染が広がった可能性が浮上したからだ。院内感染が起きれば妊婦や新生児に広がる恐れがあるほか、病院が機能不全に陥るかもしれない。家族の心情は理解しているが、病院関係者は「少しでも感染リスクの恐れがあることは避けたい」と苦しい胸の内を明かす。

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